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2014年2月7日 掲載

中国知財権紛争事件の統計データ(1)
行政保護状況について

 2012年に全国知識産権部門が行政ルートで処理した専利権(※1)関連事件は、計9,022件で、前年比で約199%増加した。そのうち、専利権紛争事件が2,510件で、専利偽称事件が6,512件であった。
 また、同年全国工商行政部門が行政摘発によって処理した商標権侵害事件は12万400件で、懲罰・没収した金額は8.51億人民元に達し、事件数は、前年比で約52%増加した。かかる事件のうち、司法機関に移送した事件は1,576件であった。
 さらに、同年、国家版権局は、公安部、工信部などの部門と連携してネット上の権利侵害・海賊版事件を282件摘発し、そのうち72件を司法機関に移送した。また、地方版権部門による行政摘発で処理された著作権侵害事件は2,294件で、そのうち858件が司法機関に移送された。
 その他、税関による摘発を通じて侵害製品の輸出入を抑止することも、効果的な措置として、知的財産権者の合法的な権益を保護するために重大な役割を果たしている。2012年、中国全国の税関が取った知的財産権保護措置は1万8,000回以上に上り、差し押さえた被疑侵害製品は9千300万点以上であった。
 上記データから、2012年には多くの知的財産権侵害事件が行政ルートによって処理され、知的財産権侵害事件に係る行政摘発の件数が年々増加していることも分かる。行政ルートは、対応が迅速で、事件終結までの期間が短く、コストが低いなどのメリットがあるので、もともとよく利用されていたが、特にこの2、3年、中国政府が知的財産権への保護を重視し、模倣品に対する取締りを強化していることで、各行政部門の対応能力が大幅に向上したこともあり、急増している(グラフ1を参照のこと)。

グラフ1 2007年~2012年知的財産権紛争に係る行政摘発の統計データ(※2)

グラフ1

※1)専利権・・・中国においては、発明特許の事を「発明専利権」、実用新案権の事を「実用新型専利権」、意匠権の事を「外観設計専利権」として一つの法律で規定している。

※2)グラフ1は、2007年から2012年まで中国知識産権部門と工商行政部門が行政摘発より処理した専利権紛争事件と商標権紛争事件の件数の推移を示すグラフである。著作権紛争事件に係る行政摘発の件数は、公開されたデータが不十分であるので省略する。関連データは中国国家知的財産権局が公布した「2007年~2012年中国知的財産権保護状況」より。

ポイント

  • 中国の行政機関は知的財産の侵害行為に対して、直接行政処罰をすることができます。
  • 行政摘発の件数は急増しています。
  • 模倣品対策の対応スピード、費用対効果を考慮した場合、行政摘発は非常に有効な解決手段です。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

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