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2014年2月21日 掲載

知財権侵害の最新事件(1)
中国における専利権侵害事件の現状

 中国では現在、模倣品関連事件のうち、商標権侵害事件と著作権侵害事件に比べ、専利権侵害事件の件数はさほど多くない。しかし、模倣業者の技術レベルが向上するに伴い、商標を含む他人の商業標章の模倣だけでなく、他人の専利技術を盗用・偽称する状況がより顕著になってきている。それに伴い、中国ではここ数年、専利権侵害紛争もますます増加している。中国における専利権侵害事件の現状について、下記のとおりにその特徴をまとめる。

  1. 経済が発達し、知的財産権の活用が積極的に行われている広東、浙江、江蘇、上海、福建などの地域で、専利権の侵害事件が多発している。
  2. 専利権侵害事件のうち、依然として意匠権侵害事件が最も多い(※1) 。その理由として、意匠の模倣は比較的容易であり、かつ、模倣商品の製造にもそれほど多くの資金を投入しなくても、得られる経済的利益が比較的高いことなどが考えられる。
  3. 専利権侵害事件のうち、複雑な技術に関わる事件が年々増加しており、それに伴い、関わる技術の付加価値と経済価値もだんだん高くなっている。
  4. 多数の専利権侵害事件が行政摘発によって解決されているが、そのうち、複雑な技術問題に関わる発明特許権侵害事件等は、やはり行政摘発では解決することが難しいので、訴訟を通じて解決するのが得策である。
  5. 実用新案権、意匠権侵害の訴訟において、係争専利権に対して無効審判が提出されるケースが多くなっている。
  6. 専利権侵害の訴訟において、原告の挙証責任が軽減され、損害賠償金が増加されている。
  7. 訴訟の一方の当事者が外国企業、又は外国企業の中国における関連会社である状況が多い。それは、中国における市場経済の発展に伴い、多数の外国企業が中国市場に進出し、かつ、外国企業は知的財産権に対する保護を非常に重視しているが、中国一般大衆の知的財産権に対する保護意識が薄弱であるために、外国企業に係わる知的財産権紛争事件が多く発生しているからである。

※1)中国知識産権局が発表した「2012年知的財産権系統執法業務において達成された成果」というニュースによれば、2012年、中国知識産権部門が行政摘発で処理した事件の中、専利権侵害事件が2,232件であり、そのうち、意匠権侵害事件が1,262件で、専利権侵害事件の過半数以上を占めている。専利権侵害に関する訴訟事件の場合、発明特許権、実用新案権、及び意匠権に分けた訴訟事件の統計データは公開されていないが、実務状況から見ると、意匠権侵害の訴訟事件が多く発生している。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

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