トップ > 東京都知的財産総合センター > 海外知財ワンポイントレッスン > 日本の中小企業が中国に進出する際の留意点 ~海外知財ワンポイントレッスン~

海外知財ワンポイントレッスン

日本の中小企業が中国に進出する際の留意点 トップページへ

2015年4月22日 掲載

日本の中小企業が中国に進出する際の留意点

I.パートナー会社の発掘方法

 日本の中小企業は、合弁会社、独資会社等の現地法人の設立、またはM&A等の直接投資方法より、ライセンス取引、または加工貿易、代理販売等の間接投資方法を利用することが多い。間接投資の場合、中国の取引パートナーが必要であるが、パートナー会社を探すには、下記のような方法を利用することが考えられる。

1. 日本の海外進出支援機構の利用

中国への進出を考えている会社は、先ず、日本国内の海外進出支援機関を利用することで、中国における全般的なビジネスチャンス等を理解し、且つ、ポテンシャル会社の発掘方法等に関してアドバイスしてもらうことができる。
例えば、東京都知的財産総合センター、日本貿易振興機構(JETRO)のような支援機構は、海外進出を目指す企業のために、海外展開に関するマーケット情報の提供など、いろいろな支援を提供している。そのうち、中国拠点などを持っている機構を利用すれば、現地パートナー発掘までサポートしてもらえる。したがって、中国進出を目指している日本の中小企業は、先ず、日本国内のこのような支援機構を利用して、情報収集をすることができると考えられる。
同時に、その他の仲介機構、またはコンサルティング会社などを利用して、ポテンシャル会社を紹介してもらったり、その発掘方法に関してアドバイスしてもらったりすることもできる。

2. 中国の業界協会の利用

 中国における業界協会とは、政府と企業の間や、商品の製造業者と経営者との間に介在して、サービス、コンサルティング、コミュニケーション、調整、監督等の職能の役割を果たす社会仲介組織のことを言う。
中国には、全国性の業界協会も、地方性の業界協会もある。例えば、中国技術市場協会、北京市技術市場協会、上海市技術市場協会等である。また、全国医薬技術市場協会、全国電力技術市場協会等各事業分野に分けて、専門的な事業別の業界協会が設立されている。
業界協会は、当業界の企業をメンバーとしてリストアップし、様々な企業の規模、経営状況、ランキング等を提供、宣伝しているため、業界協会経由で相性のよいパートナーを探すことが考えられる。特に中国において、委託生産の業務展開を考えている日本の中小企業は、事業パートナーを選定する際、相応する業界の協会を利用することは得策であると考えられる。
なお、場合によって、業界協会には、技術流通促進委員会といった内部機構が設けられ、この流通促進機構とコミュニケーションを取ることで、ライセンスのパートナーを紹介してもらうことも可能である。したがって、技術ライセンスの取引を考える日本の中小企業も、業界協会とコンタクトすることをお勧めする。

3. その他の侵害行為

中国では現在、労働集約型の低付加価値産業から高付加価値産業への産業転換が図られているが、それには先進的な技術が不可欠である。そのため、中国政府は、技術取引促進に取り組み、その過程において、中国の技術取引市場は急速に発展している。今後も、政府主導の施策によって、中国取引市場が拡大を続けることが予測される。
このような環境下で、日本の中小企業は、自ら所有する技術によって、ライセンス取引を行うことを通じて、中国市場に進出することができる。中国で技術ライセンスのパートナーを探す場合、技術取引市場を利用して、信頼できるパートナー会社を発堀することが考えられる。
そして、技術取引市場の利用において、効率的で安全な方法は、中国の常設の技術(財産権)取引機構を利用することである。常設の技術(財産権)取引機構は、技術仲介サービス機構の重要な構成部分として、情報、機器、評価、投資・融資等の関連インフラ及び資源の総合利用によって、知的財産権の運営と管理、企業の発展戦略の分析と企画、技術の診断及びニーズの発掘を主なサービス内容として、技術流通の全過程に対してサービスを提供している。
そのうち、技術取引所は、情報提供、コンサルティング、育成トレーニング、技術評価査定、融資等の様々な技術取引サービスを提供することにより、技術流通の促進を図っている。中国において、主な技術取引所は、中国技術取引所、北京技術取引促進センター、北方技術取引市場、瀋陽技術取引所、深セン市南方国際技術取引市場及び広西技術市場等がある。
その他、財産権取引所もあるが、財産権取引所の取引対象には、物権、債権、株式及び知的財産権(特許権、商標権、著作権等)などが含まれている。現在中国において、財産権取引所は約300箇所あるが、そのうち、国家レベルの財産権取引所は76箇所で、北京財産権取引所、天津財産権取引センター、上海連合財産権取引所、重慶連合財産権取引所は、中国国務院より指定された中央企業国有財産権の取引機構である。
なお、中国の科学技術部は、「国家技術移転模範機構管理弁法」を公布し、数多くの技術移転機構から優れた機構を段階的に選出することで、国家技術移転モテル機構としている。1回目には76箇所、2回目は58箇所、3回目は68箇所、4回目は74箇所、そして5回目が95箇所が選出され、現在までに全国における大学、科学研究機関、仲介機関及び企業などの国家技術移転モテル機構は、371箇所に達していいる。
今後中国に進出しようとしている日本の中小企業にとって、技術流通の適切な相手を探すことは、簡単なことではないと思われるが、上記のような情報ネットワークを有する技術取引機構を利用すれば、さまざまな選択の幅が広がると考えられる。

4. 中国の展示会への参加

中国では、毎年、各業界別に関わる展示会が数多く開催されている。出展企業は、展示会において、自社の新商品や製品、提供するサービスなどをブースに展示したり、あるいはデモンストレーションを行ったりしている。
展示会は、通常、業界別に開催されることが多く、同業界企業の「集会」とも言え、数多くの同業企業が自社の商品などを出展している。そして、当該分野の事業に関心を持つ代理業者、販売業者、及び消費者などが展示会に足を運んでいる。
かかる状況に鑑み、中国へ進出しようする日本の中小企業は、展示会に参加することで、同業企業の最新動向を把握でき、その中からポテンシャル会社を発掘することができると考えられる。一方、展示会で商品を展示することによって、潜在的なパートナー会社から逆に関心を持たれ、向こうからアプローチされる可能性もある。
したがって、日本の中小企業にとって、展示会に出展したり、見学したりすることも、潜在的なパートナー会社を発掘する有効な方法だと考えられる。

5. その他

上記に挙げた方法以外にも、日本の中小企業が中国に進出しようとする場合、提携関係のある銀行、法律事務所、や会計事務所を利用して、推薦してもらったり、紹介してもらったりすることも選択肢の一つと言える。
なお、インターネット等のルートを通じて、「パートナーを求む」という広告を掲載することも、パートナー会社の発掘方法の一つだと考える。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

日本の中小企業が中国に進出する際の留意点 トップページへ

東京都知的財産総合センター

東京都台東区台東1-3-5 反町商事ビル1F
電話:03-3832-3656
E-mail:chizai【AT】tokyo-kosha.or.jp
※迷惑メール対策のため、「@」を【AT】としています。