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海外知財ワンポイントレッスン

日本の中小企業が中国に進出する際の留意点 トップページへ

2015年4月22日 掲載

日本の中小企業が中国に進出する際の留意点

II.パートナー会社に対する信用調査方法

 現在、中国では、「信用欠如」が深刻な社会問題になっており、中国企業が「玉石混合」である状況下で、中国への進出に際し、日本企業が直面する重大な問題の一つは、パートナー会社である中国企業の信用問題だと言える。そのため、日本の中小企業は、ポテンシャル会社が見付かった場合、それに対する信用調査を行うことは必須であり、信用調査の上で、最終的にパートナー会社を選定すべきである。

1. 簡易信用調査

2014年10月1日から施行されている「企業情報公示に関する暫時施行条例」は、企業情報の公示制度を確立した。当該条例によれば、中国の工商行政管理機関は、企業信用情報公示システムを通じて、各企業の基本登録情況及びその他の即時情報を公示している。そして、企業が規定に違反して情報公示義務を履行せず、又は情報公示の際に、真実な状況を隠蔽し、虚偽の情報を作成した場合、工商行政管理機関は、当該企業を経営異常リストに載せ、且つ、企業信用情報公示システムでそれを公開している。しかも、企業が経営異常リストに載ってから3年間、依然として、是正のなかった場合、厳重違法違規企業リスト(ブラックリスト)に載せ、且つ、企業信用情報公示システムを通じて公開している。
上記のように、中国では、企業信用情報公示システムを通じて、企業の基本情報を調査することができる。したがって、日本の中小企業は、関係企業信用情報公示システムを通じて、パートナー候補会社に対する初歩的な信用調査を行い、かかる会社の基本情報を把握することができる。
また、現在、良く利用されている公示システムは、中国国家工商行政管理総局により構築された全国企業信用情報公示システムである(下記図を参照のこと)。当該システムを通して、中国企業の基本情報(会社名称、会社性質、経営所在地、法定代表人、設立期日、経営範囲、登録資本金、株主名簿等)だけでなく、行政摘発記録、経営異常情報、厳重な違法情報等の企業の不良記録についても調べることができる。

なお、企業信用情報公示システムの他にも、インターネット上の検索を通じて、対象企業に対する信用調査を行うことができる。但し、インターネット上の情報には、真偽が混在しているので、参考の際、真偽鑑別に留意する必要がある。

2. 詳細信用調査

 ポテンシャル会社に対する信用調査に際しては、インターネット上に公表された情報だけでは不十分なので、パートナー会社の実際の経営状況を把握するために、必ず実地調査を実施して、相手の実際の経営状況、履行能力、経営者の資質等を確認する必要がある。このような実地調査は、専門的な調査会社、または法律事務所に依頼することができる。
調査会社の場合、豊富な調査経験と方法を有し、また、ほとんどは仮名で密かに調査を行うので、公開ルートでは入手できない情報も、入手することが可能である。ただし、中国には、多数の調査会社があるが、何れも調査経験が豊富し、信頼度が高いわけではない。しかも、悪質なケースとしては、調査対象と結託しているという状況も存在している。
したがって、日本の中小企業がパートナー会社に対する詳細な信用調査を行う場合、専門の法律事務所などを経由して、調査を依頼することをお勧めする。法律事務所は、通常、提携関係のある専門的な調査会社に依頼して調査をするので、調査結果の信頼度が高い。しかも、法律事務所は、専門知識を活かして、相手側について、裁判に関わったことがあるか否かなどの法律面の調査も行うことができる。
なお、企業に対する詳細な信用調査を行う際、通常は、対象企業の実際経営状況、財務状況、紛争記録、経営者履歴等を調査することにより、その実力と履行能力及び信用性などを調査するが、事前に、事業展開要望に基づいて、調査ポイントを明確にしたうえ、調査を行うことが、非常に重要である。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

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