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韓国知的財産権侵害事件への対応 トップページへ

2015年4月22日 掲載

韓国知的財産権侵害事件への対応(4)
知的財産権侵害に対する警告状の発送

1.侵害行為に対する最も有用な対応措置

 知的財産権の侵害行為が発生した場合、これに対する法律的救済手段に着手するための予備的段階として、警告状を活用することができる。
 警告状には低費用で迅速に侵害事件を解決しえる長所がある。また、警告状の発送後にも侵害行為が継続する場合、故意又は過失が推定されるので、訴訟にて有利な地位を占めることができるようになる。警告状が発送されると、相手方は警告状の内容を検討し、侵害行為に該当すると判断した場合は、侵害行為を中断する旨の答弁書を送る。実務上大部分の侵害事件は警告状の発送段階で解決されている。このような点で警告状の発送は侵害事件の対応において最も有用な手続の一つである。

2.警告状発送に先立つ調査の必要性

警告状の発送に先立ち、侵害行為に対し次のような内容の多角的な調査を行う必要がある

  • 侵害者に関する情報の確保及び侵害の実態調査
    警告状を発送するためには、侵害者に関する正確な情報を確保することが重要である。もし侵害者がオンラインで物品を販売している場合、侵害者の住所、代表者等の情報をコピーしておく。また、侵害がオフラインでのみ物品を販売している場合には、調査機関を通して侵害者に関する正確な情報(会社名、住所、代表者、電話番号等)を収集しておく。侵害者が法人の場合には法人登記簿謄本を確保しておく。
    又、侵害者の営業状態、侵害品の生産及び販売現況等を多角的に調査する必要がある。このような調査には信用のある専門的侵害調査機関を利用することが望ましい。また、オンライン又はオフライン上で侵害品を購入して領収証を確保しておく必要もある。
  • 侵害者の知的財産権保有現況調査
    侵害者の知的財産権保有現況を調査して、もし相手方が権利者の商標を模倣した商標を出願している場合には、情報提供又は異議申立手続の利用も検討することができる。このような調査のためにはKIPRISサイトを利用することができる。
    また、相手方が警告状に対して、むしろ権利者権利に対する不使用取消審判等を請求してくる可能性を排除できない。従って、警告状の発送後に相手方がとりえる法的措置を予め予測し、これに対する備えを講じておくことが望ましい。
  • 権利侵害に対する慎重な判断
    権利侵害でないにもかかわらず侵害であるとして警告状を発送した場合、業務妨害罪が成立する可能性を排除できないので、権利侵害に対する経験のある弁理士の判断を受けることが重要である。

3.警告状に記載すべき事項

 警告状には権利者の権利に対する説明、相手方の侵害行為に対する具体的な言及、侵害行為に関する法律条項、相手方に対する要求事項(侵害行為の中止、侵害物品の廃棄、侵害行為に対する謝罪広告、今後侵害行為をしない旨の約束又は謝罪文の掲載、答弁書送付期限等)が含まれていなければならない。

4.警告状の発送方式

 警告状は内容証明で発送する。

5.警告状に対する答弁書を受け取った場合

 実務的には、ほとんど警告状にもとづき相手側は侵害行為を中断するという答弁書を送ってくる。そのような答弁書を受取ったら相手方に対する要求事項が全て守られたかを最後までよく確認しなければならない。もし、権利侵害ではないという答弁書を受取った場合は、再度権利侵害の有無に対する点検をした上で訴訟提起をするか否かを検討する必要がある。

資料協力 リ・インターナショナル特許法律事務所

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