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韓国知的財産権侵害事件への対応 トップページへ

2015年4月22日 掲載

韓国知的財産権侵害事件への対応(9)
侵害品対策における刑事訴訟

1.商標権侵害罪

 商標権の侵害行為をした者は7年以下の懲役又は1億ウォン以下の罰金に処すとされている。
 過失のみでも成立する民事上の損害賠償責任とは異なり、刑事犯罪が成立するためには、行為者の故意がなければならない。実際の刑事事件においても行為者の故意の有無は大きな争点となることが多い。故意の成立には、行為者が他人の登録商標であることを認識しながらも、これをその指定商品と同一又は類似する商品に使用する意思があればよく、出所の混同を起こさせようとする意思又は需要者を欺瞞し不正な利得を得ようとする意思は必要とされない。注意すべき点は、商標法の侵害は特許権等とは異なり親告罪ではないので、合意により告訴が取下げられても処罰される。

2.両罰規定

 法人の代表者や法人の代理人又は従業員が、その法人の業務に対して商標権侵害罪に該当する違反行為をすれば、相当な注意と監督を怠らなかった場合を除けば、その行為者だけでなく、法人にも3億ウォン以下の罰金刑を科する。

3.その他

 商標法侵害行為等が法により犯罪として規定されているが、無形の知的財産権に対する保護観念がいまだに徹底していない点、知的財産権の侵害による損害を正確に把握することは困難である点、捜査機関の関連分野に対する専門知識不足等により、知的財産権を侵害された者が刑事告訴しても、その進展及び結果に満足できないことが多い。また、権利者が刑事告訴したが、侵害者が逆に知的財産権自体の存否を争う手続きを提起した場合(特許無効審判、等)、捜査機関はその結果が出るまで刑事手続きを進めることをひき延ばすのが大部分である点も注意する必要がある。

資料協力 リ・インターナショナル特許法律事務所

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