〔株式会社ライナフ〕

物件確認から内覧に至る一連の流れを
自動化 独自開発のAI・IoTで、
不動産業界の効率化に取り組む

株式会社ライナフ
執行役員
杉村 空氏

不動産管理会社の仕事は、空室募集、オーナーや入居者対応など複雑で多岐にわたる。特に1月から3月は企業の異動だけでなく、入学や就職、帰郷などにともなう入退去が大幅に増える時期であり、業界にとっては繁忙期だ。この時期の忙しさは、通常時の3倍をくだらない。そんな不動産管理業界に特化した独自開発のAI・IoTソリューションで不動産業界の効率化に取り組む企業がある。2014年11月創業の株式会社ライナフだ。同社は、創業当初からAIやIoTを活用して業界の効率化に取り組む事を同社のビジネスモデルと位置づけ様々な事業展開を進めてきた。現在、同社の中心的なサービスとなる「スマート物確」と「スマート内覧」システムの機能と、今後の展望に関し、同社を取材した。 複雑で手間のかかる不動産管理の仕事を、IT技術で効率化。

2014年創業当時、同社は既にスマホなどで簡単に制御可能な「スマートロック」をリリースしていた。当時は住宅設備機器としての「電子錠」は存在したが、取り付けには大掛かりな工事が必要で、スマホも使えなかった。「スマートロック」は、既存のドアにも後付で簡単に装着が可能だ。今でこそ普及しているが、当時は画期的なハードウェアであり、業界内でも2014年をスマートロック元年と位置づけている。同社では、この製品開発を起点に、複雑で手間のかかる不動産管理の仕事をAIやIoTで効率化する「スマート物確」や「スマート内覧」など、様々なサービスを提供している。同サービスの機能と仕事の流れについて、株式会社ライナフの執行役員 杉村空氏に聞いた。

AIで電話の物件案内を自動対応する「スマート物確」

杉村氏:「入居や内覧を希望するお客様がいる場合、不動産仲介会社は、その物件を管理する不動産管理会社にまず電話し、その物件の空き状況を確認することが通例です。実際、繁忙期の不動産管理会社では、お客様からの物件確認電話を一日に何百件と受けているところも少なくありません。当社の「スマート物確」は、お客様が物件を電話で確認するプロセスを、AIによる音声認識システムを活用する事で、問い合わせ電話にAIが自動対応する仕組みです。このシステムによって、人が対応することなくリアルタイムな空室情報を仲介会社に伝えることができ、管理会社にとっては大きな効率化に繋がります。仲介会社からのコールに対し、AIは”確認したい物件名を声に出してください”と応答します。仲介会社が発声した物件名をAIが認識し物件を特定することで、スピーディにデータベース上の空き状況を回答する事ができます。」

    「スマート物確」のメリット

    「スマート物確」の導入により、空いた時間を他の業務に振り分け、業務の効率化に繋がる。従来人間のオペレーターがやっていた仕事をAIが肩代わりする事で、24時間365日対応可能となり、土日などで、従来逃していた機会損失をカバーできる。杉村氏は、それに加えてデータの分析機能もメリットだという。問い合わせは何曜日に多いのが?どこの物件の検索が多いのか?など、これまで手作業で時間をかけないと把握できなかったデータを瞬時に分析し、入居率向上のための施策に活かすなどマーケティングの観点からもデータ利用の価値は大きい。AIでカバーしきれない場合は人間のオペレーターに転送されるが、同社のシステムでは、受電の過半以上が自動応答のみで完結しているという。しかし、明らかな物件名の読み間違いや周囲の雑音が多い場合など、AIでも聞き取りにくいケースもまだあり、認識率の向上は今後の課題だ。同社では、認識率100%を目指して開発を進めている。

    気になる部屋の内覧プロセスを完全自動化する「スマート内覧」

    杉村氏:「物件の空き状況を確認できた後、仲介会社はお客様を現地内覧にご案内するため、再び不動産管理会社に連絡を取ります。ここで活躍するのが当社の”スマート内覧システム”です。管理会社が休業でも、例え夜間でも、都合の良い日程で自由に内覧ができます。管理会社のスタッフが立ち会ったり鍵を取りに寄ってもらう必要もありません。また専用のハードウェアと連動することで、管理会社のスタッフが鍵の受け渡しをする手間も不要です。」

      写真

    「スマート内覧」のメリット

    スマート内覧では、スマートキーボックスやスマートロックを連携する事で、鍵管理の無人化とセキュリティ向上を確保できる。仲介会社がスマート内覧を通じて内覧予約をとると、その予約時間にのみ利用可能なワンタイムのデジタルキーを発行。予約時間にのみ現地に設置されたスマートキーボックスやスマートロックを解錠できるようなるという仕組みだ。キーボックスのパスワードは一定時間でランダムに変更され、予約時間以降は利用できなくなるため、セキュリティの向上も実現できる。一連の流れの中に管理会社の人は介在しない。管理会社としては、管理作業を軽減しながら、内覧機会を増やせるのだ。

    「スマート物確」から「スマート内覧」へ。シームレスな自動化を実現。

    「スマート物確」と「スマート内覧」を組み合わせる事で、物件検索〜内覧予約〜鍵の受け渡し〜完了まで全てが自動化されワンストップで完了する。杉村氏によると、不動産業界は、ITの仕組みに抵抗があり、同社の一連のサービスは、当初なかなか受け入れてもらえなかったという。しかし不動産業界の専門誌でも、ここ1〜2年ほどで、急速にIoT、AIが話題として取り上げられるようになり、売り上げは順調に伸びているという。「スマート物確」「スマート内覧」システムは、現在も常にアップデートが図られている。進化はとどまる事がない。

    スマートロックは転居時に必要な鍵交換も不要。銀行で使われる高度なシステムを使い万全の安全を確保している。集合住宅に限らず、住宅の施錠システムは、こんな形で進化していくのだろう。

企業情報


株式会社ライナフ
所在地
東京都千代田区神田須田町2-1-1
事業内容
不動産管理業界向けIT効率化サーピス
資本金
7億6,500万円
https://linough.com/