安全・安心、防災
この20年ほど、優秀なのに大きくて使われなくなったメカニカルな部品を、米つぶより小さなサイズで新たに製品化。電気使用量がごくわずかな微振動検知センサはIoT分野を中心に、さまざまな物作りの現場で注目を集めています。広く大量に普及させることで価格を下げ、“産業の米”として育てたい。
例えば、スマートフォンの画面が動きを感知して点灯したり、縦横に向きが変わるといった動作は、主に加速度センサが担っていて、高機能ですがつねに電源を入れたまま状態をチェックして対応しています。それに対し、我が社が開発、販売しているセンサは、動きを検知して電源を自動的にオン・オフに切り替えるだけの機械式。かつては普及していたのに、サイズが大きく時代に取り残された種類の小型化に取り組んできました。いま話題のIoTでは、通信のために電池が長持ちする機能が求められ、使わないときは自動で電源を切る機械式のセンサはまさに打って付けの部品です。その新製品が「無指向性微振動検知センサCMN200」。自身で電気をほとんど使わず、感度が良く回路の設計も簡単な上に、サイズは2×2×1.5mm(Max)と米つぶよりも小さい。当社の従来品に比べて体積は60分の1となり、重さもほんのわずかです。
このセンサを家や車のキーに内蔵すれば、ポケットやバッグに入れてドアの近くに来ると、交信して自動で解錠・施錠し、キーを棚に置くと電波の発信はオフになります。また、エアコンやテレビのリモコンに入れると、使用時以外は電源が切れ、ムダがありません。冷蔵庫のドアに貼ってIoT機能を付ければ、ドアを開けるたびにスマホに知らせが届いて、離れて暮らす親をさりげなく見守ることができます。ほかにも動物生態の観測や、工場などに設置している機械の老朽化の早期発見など、考えるときりがないほど使い方が広がっていきます。このセンサの仕組みは、積層セラミック製の箱の内部がくり抜かれ、直径0.8ミリの導電ボールが入っており、振動によってボールが動くことで電源のオン・オフを切り替えます。ただ、高温多湿だとボールが動かなくなるため、内部を真空にして不活性ガスを注入して対策しているのですが、なかなか気密封止できずに苦戦しました。これを乗り越え、品質が車載信頼性基準に準拠していると認められ、振動耐久性は3億回までを保証しています。我が社では、メーカーの協力によって製品を作ってもらい、特許を取得し、販売していますが、このセンサは協力企業の優れた力があって実現できたもので、日本独自の技術の賜物です。
製造の現場の人から「機械式のセンサは性能がいいから使いたいけれど、大きいよ」と言われたことが発端でした。新製品をようやく量産し始めましたが、模型で東京都のベンチャー企業大賞をいただいてから13年もかかりました。息子の一彌とともに、多くの方に応援してもらいながら叶った夢です。いつの間にかみんなが使っているような、“産業の米”になるといい。ロケットの部品にも採用してもらって宇宙へ行けたらうれしいです。耐久性は問題ありません。
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取引先として
スマートキー/金庫/自動販売機/見守り/位置検知タグ/腕時計
東京都ベンチャー技術大賞 特別賞受賞
Email/k_shimase@catch-sensor.co.jp
担当部署/事業企画兼営業課長
担当者名/嶋瀬一彌