人材育成計画作成支援事業 支援事例(4)〜細見工業株式会社〜
社員みんなが納得できる「モノづくり」のために
「展示ケース」の設計から製作、施工までを一貫して手がける細見工業株式会社。同社の製品は、北海道から九州・沖縄まで全国各地の美術館・博物館で使われています。40年の経験によって培われた確かな技術で「伝わる」展示空間を提供し続ける同社が、公社の「人材育成計画作成支援事業」を利用し、社員の能力向上への取り組みを始めました。
「裏方」製作の実力派
同社は、昭和47年に「船の科学館」展示室の装飾金物の受注をきっかけにディスプレイ業界にデビューした。以来、約40年間、「沖縄国際海洋博」「EXPO’85」「江戸東京博物館」等の展示ケース・装飾金物などを手がけ、顧客から高い評価を得ている。
もっとも、「展示ケース」はそれ自体を鑑賞するものではなく、あくまでも主役の展示物を引き立たせる裏方。この役割次第で展示品を見るお客様の印象は大きく変わる。「どこで」「何を」「どんな環境で」展示し、「どんなお客様が」観にいらっしゃるのか。「展示ケースを使用するのは誰なのか」。細かいところまで細心の気配りが必要になる。同社は社員約20名と小規模ながら、デザインを具現化できる力を持った数少ない会社で、納入実績も含め、その実力は折り紙付きだ。
お客様に楽しんでいただけるような展示空間を提供します。 | 「展示テーマ」「想い」を感じていただけるような設計をしています。 |
公社の支援を活用して社員の能力向上へ
現社長は先代から社業を引き継いだ後、平成15年にISO9001を取得。平成21年には4年後を見据えた経営革新計画を策定し、東京都の承認を受けるなど、明確なビジョンを持って経営に取り組んでいる。しかし、経営目標を達成するには社員の協力が必要不可欠だ。社長一人が会社を引っ張ることには限度があるし、社員一人一人が知恵を出し合いながら作業を進めていくほうが、より大きな効果が期待でき、達成感もより大きい。
ただ、そのためには社員一人一人が自主的に物事を考える習慣を身につける必要があった。今までの社員教育はOJTを中心に技術面が主であり、チームワークやリーダーシップ、組織の縦横のコミュニケーションといったヒューマン系の教育が充実していなかった。社長は、どのようにして段階を追ったプログラムを組んでいこうかと思案していた。
そんな折、公社のホームページで「人材育成計画作成支援事業」を知り、この事業を通して組織体制の整備とどのような教育体系を組んでいくか、支援を受けることにしたという。
今年の2月初旬、公社のナビゲーターが経営者や中堅幹部社員へのインタビューを実施。問題点の整理と分析を通じ、「人材育成計画のための提案書」をまとめた。この報告書では、上記の中期経営革新計画の趣旨を踏まえた「人材育成の方向性」「整備すべき教育体系」「中堅幹部の意識改革の方法」「改善すべき組織・制度」などを提案した。この提案を踏まえ、ヒューマン系スキルを中心に社員教育を始めることになったが、その前になぜ社員教育が必要なのかにつき、社員全員に徹底させたいという社長の意向を受け、公社のナビゲーターが同社の全体会議に出席し、提案内容を分かりやすく説明した。説明に対する社員の理解度は個人差があったようだが、「自分たちも変わらなければならない」という気付きを与えるきっかけにはなったようである。
今回提案した人材育成計画をもとに様々な支援制度を活用し、「全社員が技術に対する絶対的な自信とプライドを持って、納得の行く仕事をする」という同社の目標を効果的に達成してほしいと願っている。
連絡先
細見工業株式会社
代表取締役:細見 大作氏
所在地:葛飾区小菅1-11-20
TEL:03-3838-2121(代) / FAX:03-3603-1247
資本金:1,000万円 従業員数:20名
□ 問い合わせ先 □
企業人材支援課
TEL:03-3832-3675 / FAX:03-3832-3679