人材育成計画作成支援事業 支援事例(7)〜槇野産業株式会社〜
次世代に向けて種々の社員教育を実践
槇野産業株式会社は、社歴80余年となる粉砕機の製造・販売を主業務とする業界のリーディングカンパニーです。
次世代への事業承継を考えるようになった今、次の世代に対してできるだけ早めに教育をしておきたい、との社長の思いで、「専門家派遣事業」や「人材育成計画作成支援事業」といった公社の事業を活用することとなりました。
米粉も作る粉砕機のトップ企業
同社は大正15年創業という歴史ある企業で、創業時から各種粉砕機の開発を行ってきたメーカー。今は「ちょっと便利なユニークな会社」をモットーに、粉体に関する機器装置のメーカーとして、それらの装置を活用したプラントの設計、製作、販売を行っている。本社・工場は葛飾区の四つ木にあり、千葉市には顧客が粉砕の試作を確認できる機器を備えた千葉工場を持ち、顧客ニーズに最適の粉砕機を提供する。また最近では、米粉用粉砕機を社長が率先して開発、営業活動を進めている。米粉はここ数年急速に脚光を浴び、製粉技術の進歩によりパンやケーキさらには麺類など幅広く利用され、そのもちもちとした食感が人気を呼んでいる。
同社の社長および学生時代からの友人である常務が理工系出身ということもあり、工場の設備や簡単な建屋の改修工事は自らの手で行ってしまうという、根っからの技術屋が集まった企業といえる。社長室には新品なら数百万円はするであろうという音響装置がこれも手作りで設計・製作され、業務に疲れた頭を休めるために素晴らしい音色を奏でている。
PDCAの実践
同社は公社の異業種交流会の一つ「東京国際取引研究会」に開始当初より参加し、さまざまな形で公社と付き合ってきた。その交流会の中で、人材育成計画作成支援事業を知ることになる。今まで技術面では社内勉強会で指導、教育がなされてきたが、体系だった教育システムとしては確立されておらず、特にヒューマン系の教育はほとんどされてこなかった。社長としては、世代交代も視野に入ってきたこの時期に体系だった人材育成計画を作成し、従業員に対し基礎教育からやり直すことを考え、公社の人材育成計画作成支援事業を活用することとなった。
平成21年夏に公社の2名の人材ナビゲータが、人材育成計画作成のための従業員インタビューや工場見学を行い、報告書を作成・提出した。また同時期に、幹部社員による「次世代戦略会議」に公社の専門家派遣を受け、会議やリーダーシップに関する指導が約半年行われた。専門家派遣では、「問題の発見と解決方法」や「自分自身を見直す方法」などの指導もあり、活発な議論の末に物事を決めていくというスタイルで、戦略会議がなされていくようになった。
平成22年に入ってからは、社会人教育の一環として若手社員に対し「社会人としての基礎教育」の講習会が続けられており、さらに教育の継続性の観点から、社長は次のカリキュラムの検討に入っている。教育の効果が一朝一夕に現れるものではないことを社長は理解しているが、社員教育を受けることで従業員の目の色が少しずつ変わっていく様子に、目を細めている。
同社では前出の会社のモットーのほか、全社スローガンとして「学び稼げ」を掲げ、経営数値の公表などオープンな経営を行っている。また、目標管理制度を実施し、毎年その前年度の目標の反省のうえで新しい目標を立てて、目標管理のPDCAをきっちりと回している。
さらに社長は早々と事業の承継を会社内に公表し、次世代の育成を強化している。従業員もそのことは理解しており、協力する姿勢が徐々に醸成されるとともに、自身のキャリア形成やワークライフバランスにも注意を注ぐようになってきた。
この何事にもきっちりとPDCAを回す姿勢こそが、人材育成の原点であるから、この姿勢を大切に、将来に向かっても成長し続けていってほしい。
連絡先
槇野産業株式会社
代表者:槇野 利光氏
所在地:葛飾区東四つ木2-11-8
TEL:03-3691-8441 / FAX:03-3691-8445
URL:http://www.mkn.co.jp/
資本金:2,000万円 従業員数:34名 創業:大正15年
□ 問い合わせ先 □
企業人材支援課
TEL:03-3832-3675 / FAX:03-3832-3679