〔スペシャル対談 -Part3- 〕

IoTへ。一歩進める中小企業の思考法」〜IoT活用に取り組んだ経営者が
 貴社が踏み出す一歩を後押しします〜


当日の会場風景より


●IoTの導入支援について行政への要望。


神戸氏:例えば、足立社長が活動していくうえで支援を受けて開発に至っているわけですが、もっとこういう支援があれば、中小企業の方がIoTを導入し易くなる、ということがありましたら教えていただけますか。

足立氏:自分の失敗談から考えると、IoTをワンストップで出来ますというメーカーや開発会社はけっこうあるのですが、実は出来る会社は少ないんです。出来ますと言って本当は出来なかったりする場合があるのです。IoTは本当に色々なものに関わってくるので、ワンストップで、ものと基板とアプリをすべて出来る会社は、実はあまりなかったりします。探したらあるのかもしれないのですが、初めはそういう会社を探すのに苦労をした経験があります。行政にお願いすることかどうか分かりませんが、マイスター制度のように、IoTの開発について一定の基準を持っている会社をお薦めします、という仕組みがあると、非常に分かり易いというのが一つです。二つめは、総合的に俯瞰して指導してくれるようなプロジェクトマネージャー的な動きをしてくれる人に辿り着けないことです。経験豊富で、ものも創ったことがあり、通信のことも大体分かる、という人になかなか出会えない。本当にガチガチでITに詳しい人が会社にいれば良いですが、そうでない場合が多いと思うので、導き役みたいな人を紹介していただけると非常に助かります。

神戸氏:皆さんの中にも、あまり理系は詳しくないという方や、私は本当に文系だよ、という方も多いと思うのですが、そういう方たちが、IoTを導入するにあたって、アドバイザーやIoTに詳しい方を紹介していただいたり、企業を紹介していただいたりというサービスや支援があったら、もっとやり易いということですね。

足立氏:どこかにあるのかもしれないですが、私はなかなか探せませんでした。

牧野氏:補助金等の書類を準備し採択されればその通りにやっていくが、IoTは最先端のものなので、機械を買ってこれだけ動けますという話とはちょっと違います。実際に採択後、補助金をいただく迄に、方向性が変わってしまうと変更するための書類を出したり、それでは補助金は出せませんとなったり、採択後から発注先の相見積もりをしなければいけない等、IoTのことを皆が知らないし私もよく分からない時に、既に相談をしている人がいると外すことが出来ないということがあります。包括的に使い易いような、事業規模に対し御社だったらIoTにかかる費用はこのぐらいまでは補助しますよ、ついては決算書を見せてもらって判定しますとか、仰々しい補助金ではなくて、IoTを導入するために本当にコンサルタントを雇えるぐらいの金額でいいと思うので、それをまず補助金として申請してもらい、採択後に、その次に大きいことをすると費用がかかるので、ステージ2の補助金制度の方に移行しましょうかと、ステップで、初級、中級、上級のように、何か段階的であれば普及すると思います。また、コンサルタントを公的な機関から派遣して貰うなり、そういうものがあるとIoTの導入に際し自分の中の不安が消え去ると思います。

神戸氏:補助金を申請するにあたり、採択後に運用し始めていく中で、方向性の変更、もっとこうした方が良かれと自分の中で思い変えたいけれど、そうすると支援金が下りないので、また一から書類を作り直したり、という手間があるというのは、皆さんが感じる煩わしさや、やり辛さなど聞いていてすごく分かります。牧野社長がおっしゃる、ある程度の信頼があれば、総合的な仕組みのようなもので、事業がうまく進められる支援があったらいいなあと思います。 会場にいらっしゃる皆様は中小企業や大企業の方もいらっしゃると思いますが、行政に対し、支援に対し、困っていることや、要望、、こんな時にどうしましたか、という質問などありましたらお二人にお答えいただけますので、ご遠慮なくご質問ください。

●生産するだけではなく品質管理のIoTの活用はどうなっているのか(質問より)



牧野氏:弊社では最終工程ですが、取引先と協議をし様々な記録を残すようにしています。あるメーカーの実例だと完成製品を3Dスキャンし、最近ではプロジェクターを使い高精度計測が出来るようになっているので、そういうものを検討しています。また、アナログ的だと、最終工程で図面に実測値を全部赤ペンで手書きしています。これは本当にアナログですが、その図面をスキャンし生産管理の仕組みにある画像を保存するエリアにとっており、万が一不良が出たら、営業アシスタントが受付けをして、その時に、いつ、誰が、何時何分に、その作業を始めて終わったかというエビデンスと、最終的検査をした記録書を出して、それに基づき、担当した作業者を集めて、不具合対策会議をしています。

質問者:部材などの受入れは、どんな感じでやっていますか。

牧野氏:部材の方は既にIoT化が進んでおり、自社ではほぼ管理をしていません。各鋼材メーカーに弊社の在庫状況をリアルタイムに見せています。在庫が減ってきたら、買いますか、買いませんかということが鋼材メーカーから連絡が来ます。その材料を何トン買うので、いついつまでに持ってきてくださいということを電話でやり取りをする。すると数日以内に鋼材メーカーが材料を運んできます。鋼材メーカーの運転手さんが、弊社のフォークリフトを使って、指定されたパレットを呼び出し、材料を置いて貰っています。

質問者:トヨタさんのカンバン方式と同じようなことをやっているということですね。

牧野氏:カンバン方式とはたぶん違います。生産が試作品なので、どんな注文が来るか分からないので、弊社の場合は材料を社内に500種類くらいストックしています。そのストックがあるかないか、後は今後の売り上げの見込みのこういうお客さんが増えてきたから、ステンレスが多いのか、鉄が多いのか、アルミが多いのか分析をしておいて、そのうえで発注をしているので、ジャストインタイムというのは出来ません。弊社は、社内の材料の棚がバッファになって、緩衝材の役割をしているという感じです。

質問者:部材の品質管理は、メーカーに任せていると考えてよろしいですか。

牧野氏:材料は購入した時点で、ミルシート(鋼材検査証明書)をクラウド上で保存しているので、何か不具合があった時に、私の携帯端末から状況が見えるようになっています。

質問者:足立社長にお聞きしたいのですが、先ほど資金のお話をしていましたが、クラウドファンディングはやられなかったのですか。

足立氏:クラウドファンディングは申し込んでページを作るところまでは考えました。ただ、踏みとどまりました。例えばクラウドファンディングに出した時、、凄くカッコいいものだと、たくさん集まりそうですが、弊社の商品はインフラなので、たぶん、集まらないのではないかと思ったのです。目標に達成しない実績というのがマイナスの評判になる。例えば、ある商品が目標率1200%行きましたといっているのに、ポスケットは45.1%でしたというと、それでは、難しいことになってしまうと思ったので、途中で踏みとどまりました。



●導入を踏みとどまっている理由、何か問題に感じていること




質問者:弊社は製造業なので生産管理システムについてお聞きします。在庫管理とか原価計算にしてもソフトウェアを入れるとなると数百万単位の投資になり、なおかつ毎年一定の保守料というものが掛かってくるのではないかと思うのですが、それを払ってまで導入するべきなのか、むしろ、そのお金を現場の従業員に、賞与として還元した方がいいのかとか、いろいろ考えて、なかなか一歩踏み出せないという現状があるのですが、その点、どのように判断されましたか。

牧野氏:実を採ってしまうか種を蒔くかです。今ある実を全て採って皆で食べてしまうのでは無く、社員に還元する分は還元する分のボーナスはこの位だけれども、ある程度生産管理など設備投資の先行投資をして、数年後ちゃんと皆が使ってうまくいけばボーナスはもっと多くなる、という様な考え方をすれば、たぶん一歩前に進めると思います。 問題が起きた時に、部長や経営者、管理職の人間が表に立ち、何故問題が起きたのかを解決しようとすると、そこで新しいものづくりの考え方や会社経営の考え方が出てくると思います。その問題を解決するため必要なものがあれば導入する。弊社の場合、在庫管理は昔手書きの台帳を女性4名で書いていました。そのとき、月に1個のお客様で100件位の受注しかなかったのです。今は、生産管理システムを入れたことにより4名のアシスタントが月に1万件の処理をしています。生産管理システムは1997年の時に導入したのですが、今の結果を見ると、導入してよかったとしか言えないですね。人間の記憶には限界がありますが生産管理システムはパソコン上に記録が必ず残るので、絶対うまく活用してた方がいいと思います。

足立氏:今、ITは色々と進んでいるので、何か課題があるとしたら、思っているよりも安価な仕組みで、それを潰し込むことは比較的し易い、そういう時代だと思っています。何かこれはおかしい、これをなんとかしたい等の課題があるなら、一度専門家に相談して、何か方法はないかとかを探ることは全然ありだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいです。また、何か失敗の話が聞きたいということでしたら、いつでも私の所に来ていただければ、失敗談はいくらでもお話できますので、よろしくお願いいたします。

牧野氏:本当に小さいことで完結できる、本当に小さいことだけでいいので、IoTでやってみるというIT化でもいいです。いきなりジャンプはできないと思うので、本当に小さい成功事例を社内で見つけてもらえれば、社員もそれが自信になります。出退勤をICチップにして、リアルタイムに何時間働いたか、何時間残業したかが見える仕組みを創る、というのでもいいのですし、本当になんでもいいと思うんですね。ただ、あんまり複雑すぎるのは私も今はやっていません。やらない方がいいと思います。 私も失敗をしていて、失敗から学んだところがあります。あまりに過酷な労働を課せて社員が辞めてしまい、自分がそれを代わりにやったら凄く大変だったので、これをロボット化しようとか、それをIoT化して、RPA(ロボティク・プロセス・オートメーション)でロボットにやらせてしまおうか、そんな解決をしています。自社のボトルネック等、何かの解決にIoTが役立ってくれればいいと思いますし、それは必ず自社の成長に繋がると思いますので、頑張ってください。 失敗についてはいつでもご説明申し上げますので、なんでも聞いてください。

神戸氏:お二人ありがとうございました。皆様もありがとうございました。本日のIoTセミナーが皆様の今後のIoT活用のきっかけになればと思います。