テーマ2 インフラメンテナンスに関する技術・製品の開発 1.現状・市場動向と課題現状と課題 インフラの老朽化により、インフラ維持管理費用の加速度的な増加が見込まれる(参考1~2) わが国では、高度経済成長期に整備された多くのインフラが今後一斉に更新時期を迎え、インフラ関連費用が増大することが懸念されている。国土交通省の試算によれば、高度経済成長期以降に整備されたインフラについて、建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に増加する見込みである。例えば、2020年に建設後50年以上経過した道路橋は30%だったのに対して、2040年には75%に増加すると見込まれている。 図表 6.建設後50年以上経過する社会資本の割合従来の「事後保全」を基本にしたインフラメンテナンスでは、インフラ維持管理・更新にかかる費用が2048年度までに最大12.3兆円に達する見通しであるが、インフラメンテナンスの基本を「予防保全」に転換することで、最大6.5兆円に抑えることができると見込まれている。「予防保全」においては、インフラの損傷が軽微なうちに対処することが必要であり、インフラの管理者が必要な補修を計画的かつ早急に実施することが求められている。 (出典1)建設業では、人手不足や規制の強化により、生産性の向上が喫緊の課題(参考3) インフラ管理を担う市町村では、メンテナンスの予算や人材が不足(参考4) その一方、インフラ整備やメンテナンスの担い手は不足している。建設業の就業者数は2023年に468万人で、2002年から約25.0%減少した。2024年からは時間外労働の上限規制が建設業にも適用される等の動きもあり、建設現場の生産性向上が急務となっている。 図表 7.建設業就業者数の推移(各年4月時点) インフラ設備の維持管理を担う市町村でも、予算や人材の不足により、メンテナンスの質が課題となっている。 市町村の土木費は、2012年度までの20年間で約5.4兆円減少し、対1993年度比で約53%に半減した。また、国土交通省によれば、維持管理・更新業務を担当する職員数が5人以下である市町村が多く、規模の小さい地方公共団体を中心に、巡視・点検を実施できていない例や、点検している場合であっても、マニュアル等に基づいていない・マニュアル等が存在していない例がある等の課題が指摘されており、更なる支援が求められている。 (出典2)
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