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インフラ点検・診断技術 インフラモニタリング技術 建設現場の生産管理技術(参考9) 現場作業支援に関する製品・技術 2.今後成長が見込まれる主な技術・製品の動向目視や打音による検査に加え、放射線・超音波・レーザー・赤外線等様々な検査手法を用いて、インフラを点検・劣化状態を診断する技術である。とりわけ、メンテナンスサイクルの実現に不可欠である点検データの収集・解析・蓄積のため、ドローンやロボット、アーム、レーザー計測車両等を活用した計測技術や、ビッグデータ・AIを活用したデータ解析技術へのニーズが拡大している。 図表 9.AIを活用した橋梁点検の例(出典4) 技術開発の余地は大きく、例えば、カメラや磁気、レーザー等のスクリーニング機器やドローン、マルチコプター、ロボット等の移動体、損傷の自動検出や画像の歪み補正等のデータ処理技術、点検データのAI自動診断等、幅広い技術・製品・サービスが求められている。特に小規模な市町村では、高性能・高価格な新技術を導入するための予算や技術者が不足していることから、低コストで専門知識がなくても使いやすい製品・サービスの開発において、中小企業の参入が期待される。 各種センサによって、インフラ構造物の形状・振動・伸縮・傾き等を常時監視し、構造物に生じた異状を検知するための技術である。今後は、人による常時監視が困難な構造物に対するカメラ・ロボットによる遠隔モニタリングシステムの普及や、人工衛星による地形監視、センサデータ等の伝送・処理における5G(第5世代移動通信システム)やエッジコンピューティング等の活用が見込まれる。 従来のインフラモニタリングは、膨大な機器を配置して統合制御する大規模なシステム技術のため、大手企業に優位性があると考えられてきた。しかしながら近年では、地域住民がスマートフォンで撮影したインフラの故障や被害の画像を位置情報とともに行政に報告するシステム等が開発されており、デジタル技術を活用することで、中小企業が初期投資額を抑えて参入できる可能性は高まっている。 計画や設計段階から3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図る技術で、BIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)と呼ばれる。また、センサ等から取得したデータとBIM/CIMによる3次元データの組み合わせにより、サイバー空間上に施設や都市をリアルタイムに 再現するデジタルツインを利用した維持管理にも注目が集まる。 現状のBIM/CIMは、計画・設計・施工・維持管理の各プロセスで個別に導入されているケースが多く、BIM/CIMの導入企業のうち、各プロセスを横断したデータ連携を実施している割合は56.7%(2021年度時点)にとどまっている。国は、プロセス横断的なBIMの活用に向けてガイドラインの策定やデータの標準化、情報共有基盤の整備を進めており、参入にあたってはこれらの業界動向を適切に踏まえる必要がある。 パワーアシストスーツ(PAS)や建設機械の遠隔操縦、バイタルセンサを用いた体調管理システム等により、現場の作業員の負担軽減や安全な作業の支援を行う技術である。 PASについては、建設現場における作業は多岐にわたるため、自社技術の強みを生かせる工種や作業内容を特定することが重要である。国土交通省は、23種類のPASを現場で検証した結果を「パワーア

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