11 個人による健康づくりの取組に応じて貯めたポイントを物品等と交換できる仕組み。 12 「ストレスチェック・メンタルヘルス対策(380億円)」と「従業員向けエンゲージメント/モチベーション測定サービス(228億円)」との合計値。 2.今後成長が見込まれる主な技術・製品の動向 パーソナルヘルスケア(参考7) メンタルヘルスに関する技術(参考8) ブレインテック 治療・手術支援に関する技術・製品 個人がスマートフォン等を用いて自身の健康情報を収集・管理・活用するための技術・製品・サービスである。バイタル情報・運動・食事等のデータに基づき、慢性疾患・認知症の予防や心疾患の早期発見等に資するウェアラブルデバイスやアプリ等が開発されている。 個人をターゲットとしたB to Cのビジネスモデルは継続性や課金のインセンティブ設計が課題となりやすいため、国が推進する「ヘルスケアポイント11」等の仕組みを活用し、地方自治体による検診の受診者や企業の健康組合員をターゲットとしたB to B to C/B to G to Cのビジネスモデルを構築することが重要である。 精神的な健康状態を計測したり、精神的な疲労・ストレスをケアしたりするための技術・製品である。コロナ禍の影響で精神面に不安を抱える人が増加していることに加え、企業における健康経営や人的資本経営の重要性が高まっていることから、メンタルヘルスを可視化・改善するニーズは拡大しており、2029年の市場規模は608億円12(対2020年比164.3%増)と見込まれている。 メンタルヘルスは身体の疾病に比べて医療機関を受診する心理的ハードルが高いとされるため、スマートフォンやウェアラブルデバイス、アバターやチャットボットを用いたオンラインカウンセリング等を通じて、未病段階でのセルフケアを支援するアプリケーションやサービスは有効と考えられている。 一方、これらの製品・サービスの利用によるメンタルヘルスの改善効果について科学的な検証がされているものは未だ少ないため、大学等の研究機関と連携してエビデンスを得ることが差別化要因になる。 脳科学・工学の知見と技術の融合による製品・サービスで、中でも最も実用化に近いとされるのがブレイン・マシン・インタフェース(BMI)である。 BMIは、脳波計測技術を核に、インタフェースのセンサ、脳波解析のAI、意思伝達装置、ロボットアーム等を統合したシステム技術であり、技術の裾野は幅広い。一方、計測技術の小型化・高性能化やAI技術の進歩、低侵襲性、脳波の測定精度・信頼性等の技術的な課題や、脳データ収集・分析アルゴリズムの開発、倫理ガイドラインの策定等の実用化に向けた課題も残されており、「応用脳科学コンソーシアム」や「ブレインテックコンソーシアム」等の団体がこれらの課題解決に取り組んでいる。 AI・IoT・ロボット等を活用した「スマート手術室」や治療支援に関する技術・製品である。 従来、医療リスクが高い治療用機器は診断用機器に比べて参入が困難とされてきたが、新技術の普及に伴って、内視鏡AIや手術ロボットを活用した手術支援(ナビゲーション)、3DCGやVRを使った医師・看護師のトレーニング等の新たな技術・製品へのニーズが広がっており、これらの技術を有する中小企業・スタートアップが、医療機器の製販企業や大学等と連携して新たに参入する例も生まれている。 図表 35.医用画像から生成した3DCGを活用して手術シミュレーションを行うソフト(出典4)
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