17 2021年の雇用動向調査によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.6%で、全産業の中で最も高い。 テーマ8 国際的な観光・金融都市の実現に関する技術・製品の開発 1.現状・市場動向と課題現状と課題 国内外の旅行者数は回復傾向(参考1~3) 観光業のデジタル化が急務(参考4~5) 新型コロナの流行により、訪日外客数は2019年の3,188万人から2021年には25万人(対2019年比99.2%減)と大幅に減少したが、水際対策の緩和等により、2023年4月には約195万人(対2019年同月比33.4%減)まで回復傾向にある。また、2023年1~3月期の国内旅行者数も、対2019年比17.1%減まで回復している。 観光業には全国で約900万人が従事し、地方経済を支える重要な役割を果たしている。その一方、宿泊業者の6割は小規模事業者であり、長年の経験や勘に依存した経営手法が多いため、低収益な事業体質や慢性的な人手不足による高い離職率17等の課題を抱えている。 観光関連産業(宿泊業、飲食サービス業等)で「DXを実施している」と回答した割合は2割前後で、医療・福祉に次いで低く、他の主要業種に比べてDXの導入は遅れている。 図表 44.主な業種別のDXへの取組状況(出典1) わが国のフィンテック投資額や企業数は、諸外国に比べて低水準(参考6) 政策動向 観光DXにより、コロナ禍で打撃を受けた観光業の革新を図る(参考7~8) 金融分野では、金融サービスとICTを組み合わせて新たな金融商品・サービスを提供する「フィンテック」への関心が高まっている。わが国では、家計金融資産に占める現預金の割合が54.3%と諸外国と比べて高い一方、債券・株式等の割合は低いため、金融市場の流動性が低い。フィンテックの普及によって個人の資産運用が増加することで、国内金融市場が活性化することが期待されている。 しかしながら、日本におけるフィンテック企業への年間投資額は米国やイギリス等と比較して低水準にとどまっており、都のフィンテック企業数も他の金融都市に劣後している。 図表 45.フィンテック企業数の比較(出典2) 国は、「観光立国推進基本計画」において、2025年までに訪日外国人旅行消費額5兆円、国内旅行消費額22兆円の早期達成を目標に掲げ、DXや先端技術の活用によって持続可能な観光の復活を図るため、「観光DX推進プロジェクト」や「インバウンド受入環境整備高度化事業」等を実施している。
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