テーマ1 防災・減災・災害復旧に関する技術・製品の開発 1.現状・市場動向と課題現状と課題 デジタル化の進展により、電力・通信インフラ被害への備えの重要性が高まる(参考1) 大規模停電対策として無電柱化が期待されるも、都心部の無電柱化率は10%未満(参考2) 政策動向 関東大震災発生から100年を機に「TOKYO強靭化プロジェクト」が始動(参考3) DXによる防災力強化を推進(参考4~7) 情報通信技術の普及に伴い、災害時の電力・通信等の途絶が都市の社会経済活動や市民の生活に与える影響は増大している。2018年9月の北海道胆振東部地震では、道内全域が停電する「ブラックアウト」が発生し、復旧までに約45時間を要した。 今後、首都直下地震が発生した場合、都心部を中心に11.9%が停電し、完全復旧までに約4日間を要すると予測されている。 近年の大型台風では、暴風によって電柱が倒壊し、大規模停電が発生する被害も相次いでいる。2019年9月に発生した台風第15号では、約2,000本の電柱が倒壊・破損したこと等により最大約93万戸が停電し、完全復旧までに2週間を要した。 このような電力・通信インフラ被害の防止策として無電柱化が期待されるが、施工期間が長く莫大な費用が必要であること等から、東京23区の無電柱化率は8%にとどまっている。 図表 1.主要都市における無電柱化率(出典1) 都は、関東大震災発生から100年を迎える2023年に、都が直面する5つの危機(風水害、地震、火山噴火、電力・通信等の途絶、感染症)に対応するため、「TOKYO強靭化プロジェクト」を始動させた。このうち電力・通信等の途絶については、水素や地産地消型再エネの導入促進、衛星通信の活用等、4つのリーディング事業が想定されている。 国は、AI、SNS、衛星データ等のデジタル技術やシェアリングエコノミーを活用した災害対応業務の効率化と標準化を進めている。2021年度からは、地方自治体と企業が持つ先進技術のマッチングを行う「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム(防テクPF)」を設置し、マッチングサイトの開設やモデル地方自治体での実証実験等を行うほか、企業が開発した様々な防災関連サービスを検索できる「防災DXサービスマップ」を2023年3月に公表する等、防災分野における民間技術の活用を推進している。 デジタル庁、「防災DX官民共創協議会」を設立 防災分野におけるデータ連携や防災DXの市場形成を目指し、2022年度に官民による協議会が設立された。300団体以上が参画し、データアーキテクチャの設計やデータ連携基盤の構築に向けた検討が行われている。 2.開発支援テーマについて
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