中小企業技術活性化支援事業令和5年度 新製品・新技術開発助成事業

助成限度額:1,500万円 助成率:1/2

bitBiome株式会社

令和2年度採択「AI時代に向けた疾患特有の微生物DBの開発」

がん等疾患とヒト常在細菌の関連を明らかにするための
「微生物ゲノムデータベース」の開発

開発内容

開発の経緯

 近年、感染症に加え、炎症性腸疾患、がん等において、腸内細菌等のヒト常在細菌が疾病リスク因子であることが示唆されている。
 疾患と微生物の関連を解明するには高品質な微生物ゲノムデータの蓄積が必要だが、培養ベースの手法では手間・コスト・難培養微生物の取り扱いなどに課題があった。メタゲノム解析手法は微生物の全体像を把握できるが、個々の微生物と遺伝子機能を対応させるのが困難であった。
 そこで、当社保有の未培養1細胞微生物ゲノム解析技術bit-MAP®を用いて、疾患に由来するヒト常在細菌の大規模ゲノムデータベースを開発した。

開発の特徴

 主に以下に示す3つの項目について開発した。
(1) 疾患由来のヒト常在細菌ゲノムデータの大規模収集、
(2) bit-MAP®とメタゲノム解析の統合によるゲノム品質の向上
(3) 機械が扱いやすいデータ構造での蓄積
 下部消化管疾患を中心とした対象群から、大規模なヒト常在細菌ゲノムデータを取得した (図1)。
 bit-MAP®とメタゲノム解析を統合して得られたゲノムデータは、従来法と比較して量と質で上回った (図2)。
 これらのゲノムデータをResource Description Framework (RDF)で記述することで、機械で扱いやすくかつ共有しやすい構造でデータを蓄積した。

図1.データベース化した微生物ゲノム数とその疾患分類
図1.データベース化した微生物ゲノム数とその疾患分類
図2.開発した統合手法 (SMAGLinker) と従来法により構築したゲノムデータの品質
図2.開発した統合手法 (SMAGLinker) と従来法により構築したゲノムデータの品質
図3.公共データベース(灰色)と当社データベース(色付き)から取得した微生物の遺伝子比較。当社データベースからのみ取得できる遺伝子が多数存在する。
図3.公共データベース(灰色)と当社データベース(色付き)から取得した微生物の遺伝子比較。
   当社データベースからのみ取得できる遺伝子が多数存在する。

今後の展開

 
 蓄積した疾患者常在細菌のデータを詳細に解析することで、疾患と微生物の関連を明らかにしていく予定である。また、微生物ゲノムデータは、遺伝子情報を基に有用物質を創り出すバイオ生産の資源として注目されている。
 本開発で得られた知見を活用し、多様な微生物から有用遺伝子を探索するプラットフォームを構築、微生物データを軸としたビジネスを展開していく。

お客様の声

活用メリット

 助成事業に採択されたことにより、当初収集を計画していた症例数の規模を縮小することなく事業を遂行することができた。
 また、RDFなどのグラフデータベースに関する開発を行ったことで、データベースに対する当社技術力の向上につながった。

表彰・実績等

  • 令和4年度 大学発ベンチャー表彰2022 経済産業大臣賞
  • 令和3年度 Japan-U.S. Innovation Awards Innovation Showcase
  • 令和3年度 Japan Venture Awards(独立行政法人中小企業基盤整備機構) JVCA特別奨励賞
  • 令和3年度 慶應大学医学部主催 健康医療ベンチャー大賞 準優勝
  • 令和2年度 Innovation Drive Award 2020 スタートアップ部門
  • 令和2年度 東京ベンチャー企業選手権2020 入賞
  • 令和2年度 HVC KYOTO 主催者賞
  • 令和2年度 新製品・新技術開発助成事業採択
  • 令和元年度 AGSUM2019 大学ビジコン 最優秀賞 (AGSUM組織委員会)

bitBiome株式会社

代表取締役:鈴木 悠司
住所:東京都新宿区早稲田鶴巻町513 早稲田大学121号館
設立:2018年
資本金:1億円
従業員数:27名
事業内容:微生物のシングルセルゲノム解析技術を用いた受託解析及び共同研究開発
URL:https://bitbiome.co.jp/