令和5年度 人財マネジメントハンドブック
26/114

24(1)人材育成・自己成長支援海外と比較して、人材の流出リスクの大きくない日本では、GDP(国内総生産)に占める企業内閣府による経済財政報告(経済 財政白書)2018年度版では、人材育成の重要性を指摘するととの能力開発費の割合は少ない水準になっています(平成30年版「労働経済の分析」厚生労働省もに、社員教育や社会人の「学び直し」などによる人的資本投資が1%増加すると、労働生産性が0.6%より)。しかし、今後はさらに人材の流動化が顕著になることと、より多様な人材が求められる上昇すると試算しています。今後はさらに人材の流動化が顕著になることと、より多様な人材が求めことを考慮すると、人材育成のための能力開発にかけるコストを再考する必要があります。られることを考慮すると、人材育成のための能力開発にかけるコストを再考する必要があります。また、中小企業では、人材育成というとOJTの実施をあげる企業が多いのですが、実際にその効果は十分でないとする企業も多いのが実態です。その第一の要因として、計画的に行われていないことがあげられます。十分な効果を出すためには、OJTもOFF-JTも人事基本方針のもと策定される訓練体系図と育成プログラムに沿って計画的に行うことが重要です。上に、教育訓練や従業員育成の支援を行うことが必須です。また、定着率には、配置・異動、職場環境なども大きく影響します。i 何のために(到達目標)ii 誰に対して(対象者)iii 何を(教育訓練名)iv どのように(方法)①キャリア自律の促進と育成キャリア自律とは、個人が自らのキャリアに価値を見出し、主体的・自律的にキャリアを開発することをいいます。終身雇用や年功序列が崩壊し、社会も不確実な時代において、個人も自律的にキャリア形成を図ろうという意識になっています。そして、企業には、そのキャリア形成の支援をすることが求められています。一方で、人材は企業の大切な資源として育てることも引き続き必要です。ただし、人を育てるには時間がかかります。人材の育成は長期的に計画的に行うことですが、確実に目標到達させるよう、そこは個人の資質に任せきりにせず、企業も確実な支援をしながらともに成長できる関係を維持することです。また、個人によってレベルが異なるので、個人がどこを目指しているのか、どう成長していきたいのかをしっかりとヒアリングする必要があります。その上で、企業の求める人材像と重なるようにしなければなりません。②キャリアマップキャリアマップとは、企業の求める人材像や教育方針に従い、自社において人材が向かうべき将来像を段階的に描いたものです。企業に働いている限り、自分がどこに向かっていくのか、それを段階的に示したもので、目標を設定するためのツールとなるものです。個人が描く将来のキャリアに向けて支援するために整備するものであり、個人の自己実現が容易となる道筋を示したものといえます。個人はこれに基づき自分のキャリアを描きます。③教育訓練体系図・教育訓練計画・教育訓練プログラム会社が取り組む教育訓練を網羅した図が教育訓練体系図となり、以下4つをまとめます。要

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る