令和5年度 人財マネジメントハンドブック
34/114

32図表2-18 人事制度の構成(1)等級制度「等級制度」とは、従業員をその能力や職務、役割などにより、等級にわけ、業務を行う上での責任や権限の付与、また処遇などの根拠とする制度です。また従業員にとっては、等級ごとに会社が求める期待レベルを示しているため、自らの目指す方向が明確になり、自己成長の指針となります。人事制度とは、広義に捉えると、人材のマネジメントに必要な制度や仕組みのすべてを指します。具体的には、採用や異動・配置、教育研修、福利厚生などあらゆる制度のことです。一方で、狭義に捉えると、従業員を期待レベルに分け、レベルごとに評価し、それを処遇につなげる基本的枠組みである「等級制度」「評価制度」「賃金制度」を取り上げて、人事制度という場合も多く見受けられます。ここでは、「等級制度」「評価制度」「賃金制度」について説明します。①職能資格制度「職能資格制度」とは、従業員に求める「職務遂行能力」に応じて等級を定める制度です。職務遂行能力は、一般的に業務経験の蓄積により向上することが多く、異動や配置転換を繰り返して人材育成を図るメンバーシップ型雇用の日本企業に適した制度と言えます。メリットとしては、いろいろな職種や業務を経験することからゼネラリストの育成に役立つこと、それにより柔軟な人員配置が可能になり、他の制度と比べてポスト不足への対応が容易にできること、人材の長期確保が可能となることなどがあげられます。一方、職務遂行能力向上=経験年数と位置付けてしまうと、年功序列的な運用になり、また人件費が高くなりやすいというデメリットも存在します。そのため、評価制度でメリハリをつけることや、賃金制度で成果主義を大きく反映するなど、各社それぞれで工夫をしています。②職務等級制度「職務等級制度」とは、「職務価値(ジョブサイズ)の大きさ」に従い等級を定める制度です。職務価値を定義するためには、あらゆる職務に対して業務内容や責任範囲、求める能力・スキル、経験などを記載した「職務記述書(ジョブディスクリプション)」を作成します。職務等級制度は属人的要素が入らず職務価値に応じて等級が定められることから、職能資格制度等級制度評価制度賃金制度5人事制度

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る