1243(1)組織マネジメントの定義Chapter1で示した「人的資本経営」と「組織力」から、ここでは組織マネジメントを「戦略の実行による成果の継続的創出とこれの基盤となる“企業風土・文化”を成すための構想と活動」と定義します。一般的には、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を適切かつ効果的に配分し生産性を高めるマネジメント(組織目標達成の活動)と理解されますが、以下の内容を重視する表現としました。ア.戦略性の重視イ.一人ひとりの業務遂行の総和による組織力の優位性ウ.企業風土・文化の確立(2)組織の構成要素(組織の7S)コンサルティング会社のマッキンゼーが提唱するフレームワークに“組織の7S”と呼ばれるものがあります。Sから始まる7つの言葉の頭文字を集めたため、7Sと言われています。組織マネジメントを推進する上でどの“S”を手がかりとして展開していくか、全体の整合性を意識しつつ、自社でのストーリーづくりが必要となります。また“ハードのS”と“ソフトのS”には特性が異なることから注意が必要となります。戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、社内の仕組み(System:予算管理制度、目標管理制度等)の3つは、“ハードのS”と呼ばれ、他の“S”と比較し相対的に短期間での改変が可能なものといえます。一方で、共通の価値観(Shared Value)、経営スタイル(Style:意思決定のプロセス、役職者の権限の範囲等)、人材(Staff)、能力・スキル(skill)は、“ソフトのS”と呼ばれ、他の“S”本章の目的と構成Chapter3は、Chapter1で示した「人的資本経営」の自社での実現を念頭に、組織的観点からの基本知識・理論の解説とアプローチのロードマップ・事例の提示を行います。人材マネジメントと組織マネジメントについては、やや重複する部分がありますが、重要だと認識する場合は双方に記述し、参照として示すこととしました。前段(項目3~5)は、組織を考える上で基盤となる不可欠な知識・理論として、「3:組織成立の3要素、4:モチベーション管理、5:組織形態の選定」を、後段(項目6、7)については、実施・実現を目指す上での手がかりとなるモデルの提示や成否を決めるキーファクターについて解説します。組織マネジメントとは組織マネジメント組織マネジメント
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