6549(1)組織づくりの基本原則組織形態を決定するときには、以下の基本原則を考慮して設計することが肝要です。① 専門化の原則:分担させる役割・責任は何か専門化とは、仕事の分業化とほぼ同じ意味です。専門化することにより、役割に専念でき、知識・能力の向上、効率的な業務の遂行ができるというものです。人員に限りのある中小企業では、複数の役割を担うことのできる人材が求められます。それには、人材育成と業務の簡素化などの仕組みづくりなどが必要です。② 権限責任一致の原則与えられた役割(職務)には、それに相応した権限が与えられるとともに、その権限と責任は同じ大きさで一致させることです。ただし、若手にチャレンジさせたい場合などは、権限は付与するものの責任は上司が負うということも大切です。③ 統制範囲(管理の幅)の原則(スパンオブコントロール)ひとりの上司が有効に指揮監督できる部下の数です。多すぎれば、管理が行き届かなくなり、少なすぎれば過剰な管理になるうえ、階層が深くなります。人手の足りない職場のプレイングマネージャーが、現場仕事を兼務するため、統制範囲が狭くなる、部下を育てられないといった問題があります。こうした管理職への育成支援や、過度な負担を軽減することも必要となります。④ 命令一元化の原則:誰が誰に仕事をさせるのか経営者が管理職を飛び越えて部下に命令をする、というように指揮命令系統が交錯する職場では、「部下が不安を持つ」「管理職が育たない」という弊害を起こします。したがって、指揮命令は、直接の上位者がするべきです。ただし、縦割り組織となるため、横の連携を図る工夫も必要です。専門性を持つ別の上司から命令を受ける方が、効率的にも部下の能力育成的にもよい場合もあります。(2)組織形態の選定基準どのような組織形態がマッチしているかを検討する場合の判断ポイントは以下のとおりです。①階層別組織かフラット組織か、それともネットワーク組織か②組織風土との整合性はどうか③育児、介護等のライフ・ワーク・バランスが可能な組織か(3)主な組織の形態① ライン組織(部門別組織、直系組織)上司の指揮命令で部下が動く管理形態です。規模が小さく、職務内容が単純であるときには有効です。原則:命令一元性の原則、統制範囲の原則組織を設計する際には、組織形態を選んで、次にその組織のおかれた状況に合わせて分業や調整の程度を変更します。組織形態の選定
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