8593〈ハラスメント対策の事業主の義務〉既に事業主に義務化されている、職場におけるセクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産・育既に事業主に義務化されている、職場におけるセクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)対策に加え、パワーハラ児休業・介護休業等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)対策に加え、パワーハラスメントについても、令和2年6月1日(中小事業主は令和4年4月1日)から義務化されました。スメントについても、令和2年6月1日(中小企業は令和4年4月1日※)から義務化されました。「パワーハラスメント」の定義職場において行われる ①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものと定義づけられています。▶企業がとるべき措置企業には、使用者としての使用者責任、安全配慮義務が問われます。職場において不法行為を防ぐことができず、適切な事後処理をしなかった場合は、債務不履行責任も問われることになります。(損害賠償責任を負う)まずは、企業として、ハラスメントのない職場を目指すという姿勢参考:「雇用指針」厚生労働省意ある協議・交渉を行ったこと)⑤ 解雇権濫用法理解雇が、法律に違反せず、労働協約、就業規則に反しないとしても、解雇権の濫用にあたる解雇は許されません。解雇権濫用法理とは、使用者の解雇権、すなわち使用者による労働契約の解約の自由を基本的に承認しながら(民法627条1項)、その濫用は許されない(民法1条3項)という理論のことをいいます。濫用かどうかの一般的基準は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない」場合にあたるかどうかという判断基準によります。(日本食塩製造事件最判昭50.4.25、高知放送事件最判昭52.1.31)懲戒解雇についても、「客観的合理性・社会通念上相当性」を懲戒権濫用の判断基準にしています。(ダイハツ工業事件最判昭58.9.16)これらは、労働契約法(15条、16条)に規定されていますが、労働契約法以外の法律(労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等)でも、使用者が労働者を解雇してはならないケースを定めています。▶解雇権濫用法理(労働契約法)「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として認められない場合には、権利の濫用として無効とする。」 1.合理的理由 労働契約を一方的に解除するだけのよほどの理由があるということ 2.社会通念上の相当性 処分をする事案の内容・程度が軽微なものでなく、解雇を行うことが過酷に過ぎないか、⑥ 整理解雇・リストラ整理解雇とは、経営不振による人員整理が解雇をもってなされる場合のこと▶整理解雇の4要件 ◦人員削減の必要性 ◦解雇回避努力(配転・出向、希望退職の募集等)の有無 ◦人員選定の合理性(客観的で合理的な基準に基づいた選定) ◦ 手続の妥当性(整理解雇の必要性、具体的内容(時期、方法等)についての十分な説明、誠(3) 職場のハラスメント(いやがらせ)職場のハラスメントは個人の問題であるとともに、企業に対する影響を理解して、組織の問題として対処しなければなりません。しかし、ハラスメントは水面下で進行し表面化しにくいため、表面化したとき被害者は相当なダメージを受けており、その対処には多大な労力等がかかります。他の一般的な事案や処分と比較しても、充分な妥当性があるかということ
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