令和6年度 人財マネジメントハンドブック
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pter pter pter Chapter Cha31234ChaCha巻末付録11②HRテックの活用の必要性「HRテック」とは、人事・人財(Human…Resources)とテクノロジーを組み合わせた造語で、デジタル技術を用いて人事が抱える課題を解決に導くサービスや技術のことです。簡単に言えば人材にまつわるあらゆる情報を集め、可視化し、一元化することです。経営のための迅速な判断に役立てたり、非効率な文書の処理や管理を効率化したりするものです。中小企業では、従業員の人事情報、能力や経験、教育訓練、人事評価などが紙によるアナログで管理されていることで、体系的に管理されていないことが多く見受けられます。しかし、断片的に管理された情報を一元管理することで人事担当のみならず、経営者が統合的にスピーディーに経営判断に使用することができ、「HRテック」を活用した結果、組織が可視化され、コミュニケーションの醸成によるエンゲージメントの向上により業績アップにも繋がります。③HRテックの種類「HRテック」は人事領域では多岐に渡ります。一例としては、求人(採用HP作成、求人サイトやSNS連動)、採用(適性試験、WEB面談、選考管理)、定着(エンゲージメントサーベイ、1on1面談支援)、タレントマネジメント(評価、処遇、採用、育成)の統合型、労務(クラウド勤怠、クラウド給与計算)評価制度システムなどです。「HRテック」は急成長している市場でもあります。クラウドによって、時と場所を選ばなくなり例えば、1on1面談をAIにより、音声を議事録に変換し、上司は面談に集中することができるシステムも出ています。④実施方法働き方改革が進み、組織の生産性をあげるために「DX」の推進が求められていますが、中小企業においては、決して容易ではありません。タスクも多く業務が属人的になっていたり、昔から慣例で業務が行われており、部下との対話の時間や人材を育成する時間を生み出す時間がないとするケースが散見されるのが実情だからです。しかし、本来の目的は、暗黙知を可視化することであり、業務を標準化していくことは人的資本を効果的に活用するためにも重要なプロセスです。自社固有のナレッジ(企業や組織にとって有益な情報)を蓄積し、活用できる状態を整備することで、従業員は付加価値を高める活動に注力することができます。結果的に、組織としての生産性向上にもつながります。特に定着に関するエンゲージメントサーベイを定期的に実施することで、組織や部署に対するエンゲージメントの変化が分かるため、モチベーションの低下や周囲との関係性の悪化などに気が付きます。調査を実施しただけで満足してしまいがちですが、分析から得られるのは全体像や実態の把握です。システム導入イコール課題解決とはならないため、その結果をもとに社内で改善に向けた施策を検討し実施することが重要です。資金面で十分な余裕がない中小企業は、人材戦略に沿って施策の優先順位を決める必要があり(1)計測環境を整える①暗黙知から集合知へ人的資本経営に向けての取組

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