12ます。「HRテック」を何から始めればいいのかわからない場合、自社の課題を特定し投下できる人手と予算の中で、まずは推進チームを社内でつくり、数社のベンダーと社内勉強会を実施して自社にマッチするかテスト運用を検討していきます。本格導入は急がず、実施が決まったら推進チームが社内全体へ推進浸透を図っていくことが大切です。「人的資本経営」を推進する上では、企業理念を起点に経営戦略や人材戦略を策定することが重要と言われています。「自社の目指す姿・ありたい姿」を社員や従業員に浸透させるには、創業時代から大切にしている価値、会社の歴史、経営者から従業員に対する思いを言語化し、自社独自の行動指針を『理念ブック』にまとめ、一貫性のあるストーリーとして、社員と共有することにより、その戦略ストーリーに沿った施策や人事制度、評価を行うことで、従業員は会社の取組に納得感を持ちエンゲージメントの向上にも繋がります。「人的資本」に関する情報開示の動きが加速しています。国際標準化機構(ISO)のガイドラインである「ISO30414」とは、アメリカでは上場企業に義務化されており、「人的資本に関する情報開示」について定めた世界初の国際規格となります。ビジネスのグローバル化が進む中、日本企業が生産性や企業価値を高めていく必要があること、人材投資とその効果の見える化がその目的となります。「ISO30414」は、2018年に公開されており、コンプライアンスと倫理、コスト(人件費、採用コストなど)、多様性、リーダーシップ、組織文化(エンゲージメント、従業員満足度、定着率など)、組織の健康・安全・福祉、後継者の育成などがあります。これは、すべての項目を開示する義務はなく、内容は企業が判断します。政府指針としても有価証券報告書発行対象企業に対し、従業員の育成状況や多様性の確保といった人材投資にかかわる19項目の経営情報の開示を求め、有価証券報告書への記載を義務づけました。引用:令和4年8月30日「人的資本可視化指針」(内閣官房「非財務情報可視化研究会」)「人的資本経営」を実践することで他社との差別化や競争力強化に繋がり、事業の成長を促進することができるためです。人を資源ではなく価値を生み出す資本として捉え直し、その価値を最大限発揮してもらうために、パーパス(目的)を言語化して会社の理念と個人の価値の重なりを軸に、会社と従業員の成長が大きな競争のポイントになります。大企業と比較して従業員数が少ない中小企業では、一人ひとりの能力の向上が企業の業績や付加価値に直接影響します。従業員エンゲージメントを高めることにより、従業員の成長意欲にこ(2)一貫性のあるストーリーをつくる(3)戦略的に情報開示を行う(1)中長期の視点で事業の成長を促進することができる(2)個々の従業員の能力を最大限引き出す4中小企業が人的資本経営に取り組むメリット
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