24リアリティ・ショックとは、入社前の期待と入社後の現実との間のギャップで感じる幻滅感のことをいいます。例えば、入社して初めてその企業の良い面だけでなく、悪い面を知り、「こんなはずではなかった」と必要以上の不信感や不満を募らせるといったものです。学生の採用活動において、企業は、応募者である学生に対して、仕事のきつさやつらさなど、仕事の遂行に際して少なからず伴う悪い面よりも、仕事のやりがいや働きやすさなど、自社の良い面をアピールしがちですが、入社後に初めて会社の実態を知った新入社員は、入社前に抱いていたその職場への理想や期待と入社後の現実との違いを受け入れられずに、騙されたような気持ちになったり、喪失感や無力感、不安や幻滅感をもったりすることがあります。あるいは採用担当者には好感が持てたにもかかわらず、配属先の上司や先輩は全く違う雰囲気だった、仕事の内容が当初の説明と違う、賃金や詳細な労働条件を入社するまで知らなかった、などの場合もリアリティ・ショックが発生しがちであり、理想や期待と現実とのギャップから受ける衝撃によって、離職してしまうこともあります。なお、リアリティ・ショックは、新入社員の場合だけでなく、ベテランの社員でも、大きな環境変化に直面することなどで発生する場合もあります。応募者は、一様に大企業志望とは限りません。中小企業を志望する理由の上位は、「やりたい仕事に就ける」、「雰囲気がよい」、「企業として独自の強みがある」となっています。一方で、「説明会などがなく情報が得られない」、「見つけにくい(後から知った)」、「大手と比べて従業員の声を聞ける機会が少ない」と、もし情報が得られていたら応募したいという声もあります。自社の情報をどれだけ拡散するか、どれだけ知ってもらえるかがカギとなります。また、情報発信の手段にSNSを活用(ソーシャルリクルーティング:SNSを活用した採用手法)している企業も増えています。例えば、LINEでグループをつくり、従業員が毎日企業の生の情報を上げ、そこにコミュニティーをつくります。そして、その中でも反応のあった人に訪問してもらい、実際の職場を見てもらうというものです。グループに入っている時点で、興味を持っているので、確保しやすいということです。やはり、大きなメリットは、双方向でコミュニケーションをとることができる点です。また、そのSNSと自社ホームページを連携させ、応募者を効果的に誘導することもできます。そのためには、少なくとも、自社ホームぺージの内容が充実している必要があります。しかし、多くの採用ページは、募集事項のみで他に情報がありません。誘導しても情報が少なければ、せっかくの応募者を逃してしまいます。改めて、自社の採用ページを見直してみましょう。(4) 情報のミスマッチ①リアリティ・ショック②情報発信
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