令和6年度 人財マネジメントハンドブック
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42評価の注意点ここでは人間の思考の歪み(バイアス)について解説します。論理思考や決定の場面での陥りやすい傾向をつかみ、多面的に意識して情報収集、行動することが必要となります。■確証バイアスいったんある思い込みをするとこれを肯定する情報ばかりが目につき、当初の思い込みを強化する歪み(バイアス)をいいます。偏りなく物事を見ることは簡単ではありません。一度なにかしらの見解を持つと、人間心理として、自身の考えを変えたくない傾向があり、自身にとって都合の良い情報のみを集める傾向があります。これが確証バイアスです。■ハロー(後光)効果特定の項目や要素に関する評価が全体の評価に影響を与えることをいいます。この後光の影響により、本来対象とすべき事柄や人事評価が歪んでしまう現象です。事例としては、「声が大きく、元気がある行動を見ると管理者能力に優れている」というイメージを持ったり、判断してしまうなどです。■現状維持バイアスと授かり効果「現状維持バイアス」は、現状を変えずに止まる選択の方が楽と感じる行動特性をいいます。変化に対する漠然とした恐れや、今もっている地位や権利を失うことに対する過剰な恐れ、あるいは変化にはメリットよりリスクが大きいと錯覚する心理があるからです。「授かり効果(Endowmenteffect:保有効果)」は、あるものを得ることよりも失うことを過大に感じてしまう傾向をいいます。これは、自分が持っているものを高く評価し、これを失うことによる損失を強く意識し、手放したくないと考える背景によるものです。*参考文献:『ビジネスの基礎知識50』より編集賃金は、労働者が使用者に対し労務の提供を行い、その見返りとして受ける労働の対価のことです。したがって、基本給だけでなく、手当や賞与など名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が支払うすべてのものを言います。労働者にとって、賃金は生活の糧であり、労働条件の中でも最も重要なものの一つです。一方で、企業にとっては、企業活動を行う上での費用の一部です。このように、賃金には2つの側面があると言えます。仮に人件費を交通費や他の諸経費などと同様に単なる費用としてとらえるのであれば、いかにその費用を削減するかが課題となるでしょう。一方で、人件費は人に対する投資であるとする考え方もあります。投資ととらえるのであれば、いかに人件費を効果的に使い、従業員のモチベーションを向上し、それにより企業の目標を達成するかが重要になります。これからの人手不足の時代には、ますます一人ひとりの従業員が活躍することが求められます。そのためには、人件費を投資と考えて従業員に投資することで、従業員のやる気を引き出し、活6賃金

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