成果事例(5) 株式会社ユニメック
採択年度:平成27年度 ホームページ公開日:令和3年3月29日開発の経緯
めまいの症状には大きく分け回転性と浮遊性の2種類があり、回転性は治療までのシステムが確立されているが、浮遊性は異常が検出されず中枢神経系、循環器系、自律神経系に由来するめまいを除き原因不明と扱われてきた。しかし、近年の研究で浮遊性のめまい群の中に重力の方向や大きさを自覚できない、耳石機器異常に起因するめまいの存在(重力感受性障害)が、日本めまい平衡医学会で示された。そこで、安価で簡便な耳石器機能異常を検査する装置と治療装置を開発した。
開発の特徴
検査装置は重力の方向や大きさを正しく自覚できるかを定量化し検査する装置である。本装置は、正しい重力情報を振動刺激に変換し身体に伝える傾斜感覚適正化装置で、重力感受性障害を判別する基準値を有し、検査結果が基準値を超えると重力感受性障害と定義し、各種めまいの症状の中から重力感受性障害を判別する。治療装置は、頭位傾斜情報を口角部位へ振動刺激することにより身体に伝えるバイオ・フィードバックを用いたシステムであり、反復使用し重力感受性障害を緩和し、最終的に治癒を目指す。
今後の展開
検査装置は特許を有し医療機器薬事認可を受けるためPMDA*)と相談中である。治療装置は在宅医療を前提に患者固有の頭部形状に対応すべく改良中であり医療機器薬事認可を受けるため複数の大学病院で非臨床試験を行っており、今後は治療方法と装置技術の特許化、学会の協力による市場への啓蒙活動を推進する。数年後に医療機器薬事認可を受け医療機器として一般病院や診療所、介護保険施設、在宅医療等への普及を目指している。
お客様の声
検査装置は、学会発表後、複数の大学病院から共同研究者へ問い合わせがあり、奈良県立医科大学を通し全て貸し出し中で、不足分を作成中である。評判は良くシステムへの改良項目を取集しているが、システム自体の変更ではなく、取り扱い説明書の拡充が望まれている。治療装置は、現在、奈良県立医科大学、富山大学医学部、聖マリアンナ医科大学、徳島大学等の複数の病院と連携し臨床実験でのデータ収集を行っている。在宅医療を考慮した、より患者個別にフィットする形状とデザイン性が求められている。
※)PMDA:独立行政法人医薬品医療機器総合機構