東京都中小企業振興公社

no.221

展示会やサイト刷新など幅広い取組が事業を加速

コルクの原料は「コルク樫」の樹皮。木を伐採せずに採取できるし、一般的な木材に比べて3~5倍の二酸化炭素を吸収するので、環境にやさしいサステ ナブルな天然素材。「コルクは持続可能な資源であり、地球温暖化抑制にも貢献する素材です。そしてSDGsの目標達成に寄与する素材として注目されて います。」(高谷氏)

コルクの原料は「コルク樫」の樹皮。木を伐採せずに採取できるし、一般的な木材に比べて3~5倍の二酸化炭素を吸収するので、環境にやさしいサステナブルな天然素材。「コルクは持続可能な資源であり、地球温暖化抑制にも貢献する素材です。そしてSDGsの目標達成に寄与する素材として注目されています。」(高谷氏)

コルク製品との出会いが起業のきっかけ

 大手銀行に勤めていた高谷氏は、夫のロンドン赴任により渡英。現地で日本文化の普及や日本語教育の活動をしつつ、ヨーロッパ各国を巡って見聞を広めた。2015年に帰国し、起業準備に取りかかった。
「学生時代から起業に憧れていましたが、当時の国内景気は最悪でしたし、学生起業も難しかったため就職しました。でも、夫の海外赴任でやむなく銀行を辞めたとき、『自分で稼げる力をつけたいなあ』と痛感したのです。また、イギリスでは事業を営む友達が何人もでき、彼女たちが頑張る姿をみて、起業への道を再び意識するようになりました。
 帰国後は、市役所で働きながら創業塾に通うなどして起業に必要なスキルを習得。そして2018年、ビジネスの種を見つけようと訪れたドイツ・フランクフルトの見本市で、ヨガマットやバッグ、財布などのコルク製品に出会いました。モノとしての魅力がありましたし、環境にやさしいコルクはこれからの時代にも合うと考え、この分野で事業に挑戦しようと決めたわけです」(高谷氏)

公社の勉強会でノウハウを学び展示会に挑戦

 創業から3年間は、自宅近くのシェアオフィスで事業を営んでいた高谷氏。2021年、オフィスを都内に移転したことを機に、公社の事業を利用し始めた。
「まずは『ワンストップ総合相談窓口』や『専門家派遣事業』を使いました。私が住んでいた県にもこうした仕組みはありましたが、相談日が限られるなどの制約があったので、東京はすごいと感心したのを覚えています。そして、2023年から単独出展を始めた展示会についても、さまざまな支援を受けました」(高谷氏)
 出展ノウハウを持たなかった高谷氏は、ブースの作り方などを教える公社の勉強会に参加。それが奏功し、公社主催の展示商談会「東京くらしのフェスティバル2024(くらフェス)」などでは多くの商談を成功させた。
「くらフェスでは、公社のビジネスナビゲーターにバイヤーを紹介していただきました。そのため、高い受注率が期待できる潜在顧客と数多く会えましたし、安心して商談に臨めた点も助かりました」(高谷氏)

高谷氏は公社主催の勉強会で、ブースのレイアウト法や商品を説明す るPOPの作り方など幅広いノウハウを学んで展示会に活かした

高谷氏は公社主催の勉強会で、ブースのレイアウト法や商品を説明す るPOPの作り方など幅広いノウハウを学んで展示会に活かした

ポルトガルらしい絵柄と、コルクの風合いがマッチした雑貨類。インテリ アに馴染みやすく、軽くて水に強いなど、実用性の高さも兼ね備えている

ポルトガルらしい絵柄と、コルクの風合いがマッチした雑貨類。インテリ アに馴染みやすく、軽くて水に強いなど、実用性の高さも兼ね備えている

ウェブサイト刷新で事業への信頼性を高めた

 展示会に出たことで顧客からの問い合わせが増える中、課題となっていたのがウェブサイトの訴求力不足だった。そこで高谷氏は、公社のアドバイザーが継続的にサポートする『デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム』のハンズオン支援を利用した。
「ハンズオン支援のテーマは、ウェブサイトの刷新でした。以前のサイトは自力での更新が難しく、自分で簡単にコンテンツを追加できる仕組みに変えたかったのです。ただ、知識が乏しいままベンダーに依頼すると意図をうまく伝えられず、希望とは異なるサイトになる危険性があるため、プロの助言をいただこうと思い立ちました。最初は、私のような小規模事業者が申請していいのか不安でしたが、事業規模の大小は問わないとお答えいただき、安心しました」(高谷氏)
 アドバイザーは事業内容を理解した上で、ベンダーにどう伝えるべきか助言。その結果、高谷氏が希望した通りのサイトが完成した。これによって事業の信頼性はさらに高まり、売り上げアップにも寄与した。

将来は海外ワンストップ相談の利用も視野に

「現在の主力商品は、ポルトガルから輸入したコルク製の雑貨やインテリアグッズです。将来はこれらに加え、ワイン関連のコルク雑貨なども取り扱いたいですね。その時は、公社の『海外ワンストップ相談窓口』を利用したいと考えています。また、展示会の助成制度も使い、さらなる成長を目指しています。
 小規模事業者ができることには限界があります。でも、公社の専門家から実践的な支援を受けられれば、事業発展の強力な後押しになると実感しているところです」(高谷氏)

利用事業 : デジタルマーケティング・営業のDXサポートプログラム

 企業の希望や課題に合わせて選択可能な複数のプログラムで、営業やマーケティングにおけるデジタル技術の活用とDXに取り組む企業をサポートしています。
 ポータルサイト「デジポート」で中小企業向けデジタルマーケティング情報を発信します。
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販路・海外展開支援課 TEL:03-5822-7234

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