【Vol.11】2019/11/07
お互いのニーズに合致した、継続的な業務協定の実例

  • 写真左:発注者 株式会社ウォールナット 企画営業部 山本 堪巳氏
  • 写真右:受注者 株式会社ハシカンプラ 代表取締役 渡辺 元氏

ビジネスチャンス・ナビ2020(以下、チャンスナビ)では、継続的なパートナーシップを組む業務提携が生まれた事例が数多くあります。今回ご紹介するのは、現在需要が増え続けている土木構造物の調査点検を担う2社のマッチング。同業企業での業務提携の理由や、提携に至った流れをご紹介します。

同業企業だからこそ、お互いをよく理解したうえで業務協定を結ぶ

(左から)発注先、株式会社ウォールナットの小笠原氏、山本氏、高岩氏、笠原氏

発注者:株式会社ウォールナット 企画営業部 山本 堪巳氏(以下、山本) 弊社は水路トンネルや道路トンネルなどのトンネル全般や、電力発電所、農業施設などの調査点検を行っています。特徴としては、電磁波レーダを使った調査をいち早く実用化してきたことです。電磁波などの非破壊調査を行うことによって、例えば交通規制をせずにトンネル調査ができたりと、スピーディーな調査が可能です。また、調査機器の研究開発を自社で行っていることも強みです。

受注者:株式会社ハシカンプラ 代表取締役 渡辺 元氏(以下、渡辺) 弊社は主に、橋梁やトンネルの調査点検を行っています。ウォールナット様との違いは、人海戦術をメインにして調査を行っていることです。強みとしては、工学博士の宮ア正男氏を技術指導者として迎え、約36名の診断技術をもった社員たちが活躍していることです。平均年齢が30代半ばという若いメンバーが揃っているのですが、これだけ若い人たちが多くいる会社は、この業界では珍しいことなんです。調査点検は、1件につき3〜5名必要になりますから、人数が多いことで、複数の案件に対応することができています。

山本 ハシカンプラ様とは、点検業務という面で、弊社が行っている事業と非常によく似ているうえに、それぞれの強みを持っています。お互いのノウハウを吸収しながら、即戦力として協力いただけると思いました。まずは私どもでハシカンプラ様を訪問し、お互いが行っている業務について渡辺様や宮ア様とお話いたしました。その後、渡辺様が弊社に来訪してくださり、お互いの業務をサポートしていける良い関係を築いていきましょうとお話をして、業務提携成立に至りました。

渡辺 話し合いの中で、お互いの得意とするところを紹介し合い、よく理解したうえで協定を結びました。

業務提携で異なる強みを掛け合わせ、相乗効果をねらう

両社とも共通する業務である、トンネル点検の様子

株式会社ウォールナットが開発した水中カメラ(ROV)

山本 今は特に、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて点検調査が必要な場所が多いんです。有難いことに多くの受注をいただくのですが、人員確保が難しく、業務が流れてしまうケースもありました。そのため技術面でもマンパワーの面でも互いにフォローしあえるパートナーを求めて、チャンスナビに発注案件を掲載しました。掲載後は発注コーディネータと全国ネットワークサポーターを通じて、スピーディーにマッチング先の企業をご紹介いただき、今回の業務提携に繋がりました。また、弊社は東京都内の会社なのですが、地方の現場に向かうことも少なくありません。東北の現場での作業が発生した際、ハシカンプラ様にご協力いただくことで、コスト面はもちろん、点検後に何らかの対応が必要になった場合、サポートに入ってもらえるので非常に助かります。

渡辺 弊社では人海戦術がメインとはいっても、世の中の動きとしては非破壊検査が主流になっていくだろうと考えていました。現在、国土交通省の定めで5年に1回、橋梁とトンネルを定期点検していますが、日本全国に橋梁は70万橋、トンネルは1万本もあるんです。かなり膨大な数ですよね。人の手だけでやっていくには、どうしても能率が悪いですので、非破壊検査は今後必要だろうと。ウォールナット様は非破壊検査のパイオニアとして、かなり前から独自のAI技術を使ってこられているので、そうしたAIを使ったお得意の部分はご協力いただき、人の目で判断が必要な部分は、弊社で今までやってきた技術者を使った人海戦術でやっていく。お互いの得意分野を融合させることで、受注できる範囲が広がるだろうと考えています。
 また、それぞれの拠点が関東圏と東北圏なので、テリトリー面でもお互いに手を広げていけるというのは非常にメリットになるだろうと思っています。今後、難しい案件が出た場合でも、ウォールナット様と弊社とでやっていきましょう、と。大きな仕事でも、全国どこでも行きますよと。そういう気持ちでおります。

情報を取得することで、会社の発展に繋がっていく

(左から)受注先、株式会社ハシカンプラ代表取締役の渡辺氏と技師長の宮ア氏

山本 今回の業務提携により、これまで以上に受注案件への対応力が増していくことを望んでいますし、あとは新しいニーズも増えていくのではと考えています。例えば、私たちがキャッチできずにいたニーズで、非破壊検査に適した案件があるのであれば、私たちの力を使うことで解決できる。そうした案件も恐らくあると思うんです。不得意の部分を補い合うことで、お互いに伸びていくことを期待しています。同じように業務提携を考えておられる企業様は、ぜひ一度チャンスナビに登録して欲しいですね。直近で具体的に発注したい案件がなかったとしても、サイトに出ている他社の情報や案件を見ているだけでも情報が収集できます。そうした情報を取得することも今後会社の発展に繋がっていくと思います。

渡辺 私が今注目しているのは、ドローンですね。今後の開発に期待しています。ドローンを使って狭いところも調査ができたり、解析のスピードが早くなったりと、もっと使い勝手がよくなったときに、弊社でも取り入れていけたらと考えているんです。ドローンだけでなく、ほかにもAI技術は発展していますから、そうした情報はしっかりと取り入れていきたいですね。直近では難しくても、これから会社を担っていく若い人たちの為に、情報収集をしたり他社との交流を深めたりと、色々な種を蒔いておきたいと考えております。そうした考えを持っていても、まずはドローンやAIを開発されている会社さんの話を聞いてみないと分かりませんから、サイトだけでなく、発注コーディネータの手もお借りして、情報を取得していきたいと思っています。

企業名 株式会社ウォールナット
業種 技術サービス業 業務用機械器具製造業
事業内容 計測機器を使用した道路、トンネル、水路などの社会インフラ診断調査サービスの提供
調査業務で蓄積した技術をもとにした新しい調査機器の開発、設計、技術提供、機器の製造
URL http://www.walnut.co.jp/
企業名 株式会社ハシカンプラ
業種 土木建築サービス業 農業サービス
事業内容 土木構造物(主に橋梁、トンネル、道路付属物等)の点検調査診断
橋梁補修設計
国土交通省所管橋梁点検車の運転操作
URL https://www.hashi-kp.co.jp/

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