5G-COLUMN-01 パブリック5Gとローカル5Gについて

5Gの利用形態は一つではない

第5世代移動通信システム(5G)は4Gに比べ、高速、高信頼低遅延、多数同時接続という特長を持ちます。
これらを実現できる理由として、5GではSub6とミリ波の二つの周波数帯が使用され、4Gに比べ周波数帯域が広くなったことがあります。これにより、5Gでは異なる通信要求が共存しやすくなり、IoTや自動運転など携帯電話以外の発展が期待されます。

5Gには大きく分けてパブリック5Gローカル5Gの二つの形態があります。

パブリック5Gとローカル5Gの比較表 パブリック5Gは 構築・運用:通信事業 免許:通信事業者 周波数:キャリア割当 設置機器:通信事業者の機器 エリア:全国の5G網 特徴:空欄 ローカル5Gは 構築・運用:利用者(利用者の管理負担が大きい) 免許:利用者(利用者の管理負担が大きい) 周波数:ローカル5G割当 設置機器:利用者の機器 エリア:専用(利用者の建屋、敷地内の専用回線) 特徴:高い性能(超高速での通信が可能 遅延が少ない(超低遅延) 同時に多数の機器を接続可能) 自社で最適化できる(Uplink/Downlinkの速度比率を最適化できる)

パブリック5Gにより手軽に5Gが利用可能

パブリック5Gは通信キャリアが提供するサービスです。
一般にパブリック5Gでは不特定多数のユーザが基地局を共用する前提でサービスが設計されており、通信キャリアの基地局があれば、誰でも、どこでも、簡単に、均一なサービスを利用できます。

近年、スライシングと呼ばれる技術により論理的にネットワークを分離した「共用型プライベート5G」も提供されていますが、ユーザ毎の細かい通信仕様の変更は困難です。

ローカル5Gにより自由度の高い運用が可能

ローカル5Gは通信キャリア以外の事業者が構築する独自通信網です。
使用する電波が総務省より割り当てられ、パブリック5Gに比べ柔軟な運用が可能です。

例えば、パブリック5Gはアップリンク(端末から基地局)よりもダウンリンク(基地局から端末)の速度が向上するように運用されていますが、ローカル5Gは事業者の都合でアップリンクの速度が向上するように変更することができます。
また、ローカル5Gでは限定されたユーザが基地局を占用するため、パブリック5Gに比べより低遅延かつ高スループットが期待され、また混線や他の通信トラブルの影響を受けにくい利点があります。さらに、基地局への接続が物理的に制限されるため、より安全性が確保されていると言えます。
近年、5G用のオープンソースも公開されており、自ら基地局を開発し使用することも可能です。

一方、ローカル5Gを使うためには総務省に免許申請を行う必要があります。また、設置や運用に大きなコストがかかります。
現在では、比較的大規模な工場や湾岸部等の通信キャリアの電波が届かないエリア、人が密集するイベント会場等で利用されることが多くなっています。また、Wi-Fiと組み合わせることで屋内外を効率的に無線化する取組みもあります。

パブリック5Gとローカル5Gの使い分けが重要

今回、パブリック5Gとローカル5Gの違いを解説しました。
手軽さを求めるならパブリック5Gが適し、基地局を占用したい場合や特定の使用状況に合わせてカスタマイズしたい場合はローカル5Gが適していると言えます。