5G-COLUMN-03 Wi-Fiとの違いについて
はじめに
ローカル5GとWi-Fiはどちらも無線通信を利用したネットワーク技術ですが、その特徴や用途、利点・欠点に違いがあります。この違いについて成り立ちも交えて比較します。
Wi-Fiの成り立ちと特徴
Wi-Fiは、元々はオフィスや家庭内など特定の固定エリア内の無線化が目的で、PCのインターネット接続を簡便にするために開発、発展してきました。低コストで誰でも簡単に無線接続できるよう設計されており、免許不要が特徴の一つです。また、下位互換性を持たせた設計のため、一つのアクセスポイントに異なる規格の端末が複数接続でき、段階的な移行が可能となっています。
ローカル5Gの成り立ちと特徴
ローカル5Gは移動体通信、いわゆる携帯電話として発展してきました。移動体通信は免許制で、独占した電波を広範囲に発射できます。そして、基地局はSIMに基づき端末の接続を許可し、その端末の通信タイミングなどを集中制御することで、移動しながら途切れることなく音声やデータの送受信をする設計となっています。
Wi-Fiは低コストに無線接続できるが周囲の影響などに通信性能が左右されやすい
このような背景の下、両者は発展し、条件次第ではWi-Fi 6の実効速度はローカル5GのSub-6と変わらず最大1Gbps程度の値が出ます。この場合、Wi-Fiは圧倒的なコストメリットがあります。ただし、Wi-Fiは免許不要なため周囲のWi-Fiを排除できず、数が多いと干渉して通信が不安定化します。例えば展示会で「電波はあるのにつながらない」という事態がそれです。さらにWi-Fiはカバー範囲が狭く、また端末数が増えると衝突回避のために待ち時間が発生し、通信速度や遅延の値が悪化する場合があります。異なる規格の端末が存在することでも性能が悪化する場合があります。
ローカル5Gは多数の無線機器を広範囲に安定して運用できるが高コスト
一方、ローカル5Gは電波干渉が起こりにくく、また電波の出力が大きいため、広範囲で安定的な通信が可能です。また、基地局の集中制御により端末増加に伴う衝突は発生せず、基地局間の端末移動を円滑に行いながらも安定した通信を実現でき、さらにSIM認証によりセキュリティが確保できます。しかし、免許制であることや基地局の機能が豊富なことは当然コスト増に直結します。近年はサービス型のローカル5Gもありコストは下がりましたが、Wi-Fiと比べれば高くなります。
さいごに
以上より、Wi-Fiはオフィスや家庭、フリースポットなど、日常的なネットワーク接続手段として主に使われ、一方ローカル5Gは大規模施設や移動ロボット制御など、ミッションクリティカルな用途に使われています。また、両者を組み合わせたハイブリッドなネットワーク活用も検討されています。