能動的に業務をこなすオーダーメイドな自走型AI
「
Orkシリーズ」の創出
アンドドット株式会社
開発したサービスの概要
顧客に合わせたカスタマイズで業務の無駄を省く「Orkシリーズ」
開発当初は社内コミュニケーションログと生成AIの技術を活用したチームエンゲージメントのモニタリングシステムサービスの創出を考えていたが、現在のAI技術の発展速度を考えれば、1つのソリューションに絞って開発を進めていると、数ヶ月後には別の解決策が市場に出ている可能性もある。そこで方向転換を図り、顧客に合わせた柔軟なカスタマイズができるサービスとして、オーダーメイドな自走型AI「Orkシリーズ」を開発した。Orkとは働く(=Work)から無駄(= Waste)を引く、「あなたの業務から無駄を省きます」という意味が込められている。 AIの力を用いて業務を自動化する、そのためのパッケージだ。
サービス開発のきっかけ
企業・自治体のAXプロデュースを進めていると、顧客から様々な要望をうかがう。要望の中には多くの共通項もあり、社内では「それをシステムのパッケージとして作れば良いのでは」ということになり、検討を繰り返していた。また、起業1年目には「AIを活用し新しい事業を起こしたい」という大手企業の中に入り一緒に事業を立ち上げていたが、2年目になると「自社でも独自事業を作っていこう」という話もするようになっていた。「Orkの事業開発が進んでいるタイミングで東京都中小企業振興公社の事業可能性評価事業に採択され、担当の方に今回の支援事業を紹介され、採択されたことにより事業開発のスピードが更に早まりました。」(茨木代表取締役)。
開発したサービスの紹介
膨大なデータの中から欲しい情報だけを精度高く引き出せる
「Ork」の特徴のひとつは、大規模データから特定の情報を検索できるシステムだ。例えば企業の中に蓄積された大量の営業ナレッジや、自治体のあらゆる分野にわたる性質の異なる情報といった膨大なデータを的確に引き出すことができる。例えば、自治体HPに掲載される情報はイベント、ワクチン接種、ゴミ出しルールから企業向け情報など、多岐にわたる。それらを従来の検索システムにまとめた場合、市民が1つのワードを検索すると何十件もヒットして、なかなか欲しい情報にたどり着けない。ところが「Ork」では、チャット形式で人が答えるような自然なやり取りで、情報を精度高く引き出せる。窓口で職員と話すような感覚で使えるシステムなのだ。
カスタマイズによって情報収集・分析からデジタル遺産の活用まで
検索システムだけであれば他にも様々なサービスがあるが、「Ork」はシステムを顧客独自のものに作り替える、カスタマイズ性が非常に高い。その企業の社内の基幹システムや、特定のワークフローと結合させることができるのだ。また、業界特有の課題解決に焦点を当てた「Orkシリーズ」を展開している。例えば、「Ork 行政あんない」というシステムでは、省庁や自治体の市民向け案内システムを提供している。チャットでの案内を実施するだけでなく、市民の意識やパブリックコメントを自動収集し、EBPM (エビデンスに基づいた政策立案)に役立つレポートの自動生成など、ただのチャットだけではなく、情報検索に紐付くデータ分析的なものまで提供できる。窓口予約申請や公式LINE連携など、自治体特有の機能を提供し、シェアを広げている。
AI特有の問題に対応、セキュリティの高さで顧客の信頼を勝ち取る
どれほど精度が高いシステムを作ろうと、今の技術では根拠のない情報や事実とは異なる情報を本当のことであるかのように提供するハルシネーションというと生成AI 特有の問題は避けて通れない。「Ork」の開発では、そのハルシネーションを極力なくすための工夫やセキュリティにも多くの労力を費やしている。その結果、「Ork」は官公庁・自治体・金融機関といった、セキュリティ要件が高い顧客も多く抱えている。精度だけではなく、信頼性の高さも「Ork」の特徴と言える。
開発期間中の振り返り
軌道修正にも柔軟に対応、1年間の伴走が開発の成功につながった
開発に取りかかると、すぐに「最初のコンセプトのままではうまくいかないのでは?」という疑問が生じた。「若干のピボットの必要性を感じ公社と話し合ったところ、柔軟に対応してもらえました。そこでダメだと言われたらOrkは完成しなかったでしょう」(茨木代表取締役)。コーディネーターの存在も、開発に大きな影響を与えた。「担当コーディネーターは大企業で経営企画に携わっていた人で“腹を割って何でも話してくれる顧問”のような立ち位置で、大企業特有の事情から完成後の営業まで相談に乗ってもらいました。支援対象期間中の1年間ずっと一緒に伴走していただけたことが、とても良かったと思います」(茨木代表取締役)。
自分たちのニーズに合った専門家の派遣で、足りない部分を補った
開発の課題や自社に不足している部分は、その解決に適した専門家をマッチングする専門家派遣を活用し乗り越えた。アンドドットの場合は「エンタープライズの販路開拓、作ったプロダクトをどう世間に認知させるか、どうメディアに露出させるか」といったテーマで、3名の専門家によるアドバイスを受けた。
「エンタープライズの販路開拓についてもっと深く聞きたかったのですが、その時は公社の人材のプールの中に適した方はいませんでした。ところが、コーディネーターの方の人脈で探して派遣してくれたのです。公社の中に人材がいなければ話は聞けないものだと思っていたのに、私たちのニーズに応えてくれたことに驚きました」(茨木代表取締役)。
スピードが命の世界で、助成金を活用しスタートダッシュを図る
「スタートアップもAIの開発もスピードが命ですが、いきなり多額の初期費用を出すのは難しい場合もあります。今回の支援である程度の開発費を賄えたことによって、思い切ったスタートダッシュができ、開発スピードが格段に早くなりました。もし助成を受けていなければ、大きく出遅れていた可能性もあります。それくらいインパクトのあることなのです。また、Orkが形になった後は、公社の別の事業で販路開拓支援も受けています。1つの支援で何かを作って終わるのではなく、このように様々な支援を組み合わせて会社を成長させていくことができるのは、ありがたいですね」(茨木代表取締役)。
これからのビジョン
開発期間が終了し、世に出た「Ork」は顧客からの評判も非常に良く、すでに売上も順調に上がっている。顧客からの新たな要望もあふれるほど寄せられている。
「私たちのビジネスは今回の開発結果を受けて、まずはしっかりとお客様に合ったAXプロデュースを提供し、支援が必要ならOrkを導入するという2軸展開になりました。Ork自体は顧客のニーズに合わせ、自治体向きには“Ork for 行政HP”、申請書のチェック・審査のための“Ork for 審査”といったパッケージを作り、シリーズ化を進めています。今後はその一つひとつのシリーズの質をより高めていくと同時に、お客様からの要望に応える新しいパッケージを作り、幅広い横展開を図ります」(茨木代表取締役)。
左/東川取締役、右/茨木代表取締役
会社情報
| 社名 | アンドドット株式会社 |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 茨木 雄太 |
| 所在地 | 渋谷区道玄坂1-16-6 二葉ビル(GUILD) 2F-O1 |
| URL |
https://and-dot.co.jp/ |
代表者情報
代表取締役 茨木 雄太
ソフトウェアエンジニアとして様々な業界の新規事業開発に携わる。2020年に ject株式会社を設立し、新規事業支援やソフトウェア開発を通して企業成長。法人生成AI活用普及協会(GUGA) 協議員/福岡県DXプロデューサー/名古屋市DX推進計画 有識者 / ”Nasa Space App” 最優秀賞 /“QTnet TUNAGU ” 最優秀賞