先進的な集音テクノロジーを有線イヤホン形式のデザインに
落とし込んだ 70~80代の方向け集音器を開発
モノラルの Bluetooth 通信をステレオサウンドにリアルタイム変換する独自処理を行うことで、無線式としても使うことができ、さらに通話時にクリアな音質を実現
株式会社 freecle(フリークル)

面倒な操作が苦手な 70~80代の高齢者の方も安心。
聴こえ方を簡単に調整できる聴覚補助機能器具

集音テクノロジーを有線イヤホン形式のデザインに落とし込んだ 70~80代の方向け集音器
本製品は、2021年に国内の集音器市場で音質満足度 No.1 に選ばれたワイヤレス集音器(able aid)をさらに使いやすくするために生まれた集音器です。
50~60代の方を対象として開発された able aid は、独自の音声テクノロジーを搭載したワイヤレスイヤホンで、それぞれの聴力に合わせて耳のピント調整ができる集音器です。
弊社独自の特許技術により 1.0m~1.5m 以内にいる対面する人の声にピントを合わせられる、対話する相手の声以外の音を相対的に小さくできるといったコミュニケーションフォーカス機能が最大の強みでした。
本製品は、able aid の開発で培った集音テクノロジーを、有線イヤホン形式のデザインに落とし込んだ軽度〜中等度難聴者に適した聴覚補助機能器具で、面倒な操作が苦手な 70~80代のご高齢の方でも、簡単に聴こえ方の調整ができます。
開発・改良のきっかけ
70代以上の方は、「簡単に操作ができ、対面だけでなく通話時も補聴できる製品」を求めていることを再認識

ワイヤレス集音器(able aid)は、スマートフォンアプリで簡単に聴こえ方の調整ができる点を評価いただいており、50〜60代の方々を中心としたご高齢の方に支持されているのですが、“面倒な設定作業が必要な製品”というイメージをもたれている70~80代の方も多く、弊社独自の集音テクノロジーや特許技術、国内生産の強みが活かしきれていないと感じていました。
そんな中、製品改良に向けて、ご高齢の方にインタビューを行ったところ、「電源を入れてすぐに利用できる有線式の集音器が欲しい」「スマートフォンは持っているけど、娘や孫と電話する時にしか使わないので設定する必要があるのは面倒」「音質が良くて簡単に使える充電式の有線タイプがあったら嬉しい」といったご意見を多数いただきました。
アンケートなど生の声から、70代より上の世代の方は、「簡単に操作ができ、対面だけでなく通話時も補聴できる製品」を求めていることを再認識できたことが、有線式集音器を開発するきっかけとなりました。
製品・サービスの特長
ご高齢の方でもイヤホンを差し込むだけですぐに使える有線式の集音器
ご高齢の方でも簡単に使える本製品は、会話やテレビの音量を 2倍以上に増幅することができ、さらに左右の聴こえ方の調整も簡単にできる有線タイプの集音器です。
電源を入れ、本体に有線イヤホンを差し込むだけですぐに使うことができます。
音量の調整や左右の聴こえ方もダイヤルを回すだけで変更が可能です。少し音が小さいと感じる方や、片方の耳だけが聴こえにくいといった方も、即座に聴き心地の良い音量に調整することができます。
有線イヤホンの下部に設置されたマイクを使って集音し、本体で聴こえやすくデジタル処理をし、音を大きくするため音質も驚くほどクリアです。
Bluetooth 接続により通話時のハウリングを防止できる
本体だけで簡単に操作できますが、スマートフォンとペアリングできる無線式の集音器の魅力も兼ね備えています。
ご自宅でテレビを見たり会話をする以外に、ご子息やお孫さんとお手持ちのスマートフォンで通話することもあるかと思います。その際、問題として起こるのが「ピー」というハウリング音です。集音器を使用したまま通話すると、音がハウリングしてしまい、集音器を取り外し、聴き取りやすい側の耳にあて通話しなければならないという状況が多々起こってしまいます。
本製品は、Bluetooth 接続により通話時のハウリングを防止できる集音器=聴覚機能補助用具として使うことができます。スマートフォンとの接続については、ご子息の方に一度、設定してもらえれば、継続して同じ設定を維持し使用することができます。
※ Bluetooth とは、約 10m 程度の短距離の通信規格で、主にスマートフォンの周辺機器を無線で繋ぐ技術。
聴こえないというストレスを失くすことで難聴による認知症を予防できる
ご高齢になればなるほど、自宅にいる時間も長くなり人と会話する機会が減少します。
さらに、楽しく会話する機会でもある、ご子息やお孫さんとの通話でさえも、うまく聴こえないということで通話時間や頻度が低くなってしまう傾向があります。
近年、ランセット委員会(認知症の予防に関する国際的な専門家メンバーによって構成された委員会)の調査結果により、 難聴は「認知症」を引き起こす要因の内、"予防できる最大の要因 "と判明しました。
耳が聴こえづらくなり、会話の頻度が減ることで、脳を使う機会が減少し、認知症を引き起こす可能性の高さが示唆されています。
認知症になると、体が元気な人であっても、自立的に行動することが難しくなり、家族や友人の負担も大きくなります。
本製品を使用することで、難聴による認知症を予防することにもつながります。
開発期間中に苦労したこと
ワイヤレス集音器から有線式の集音器に落とし込む開発工程が大変だった
現在、国内で販売されている人気の有線式の集音器は、販売価格が他の類似製品よりも高く(3万〜4万円)、高機能・高音質ではあるものの、アナログ処理で集音しているため、通話時に片側だけの耳の聴こえ方の調整ができません。
一方、弊社のワイヤレス集音器(able aid)は、デジタル処理で集音しているため、左右別に細かく聴こえ方を補正できます。この技術を有線式の集音器に落とし込むことができれば、左右同時に音を大きくする必要がなくなり、片方だけ健聴な方が、もう一方の耳に与えるストレスを抑制でき、難聴進行を抑えることが可能となります。
ただ、このワイヤレス集音器(able aid)から有線式の集音器に落とし込む開発工程が予想以上に大変でした。中でも本製品の DSP: Digital Signal Processor 処理とスマートフォン側の Bluetooth 通信による音声信号をリアルタイムに連携し、モノラルからステレオに変換した上で音質を明瞭でクリアにする独自処理開発に、当初の予想をはるかに超える時間がかかりました。
※ DSP 処理とは、デジタル形式の信号を処理する技術や方法。
助成事業を活用して良かったこと
高齢者向け新ビジネス創出支援事業に採択されたおかげでコスト負担が軽減され開発に集中できた
東京都中小企業振興公社の高齢者向け新ビジネス創出支援事業に採択されたおかげで、コスト負担が減り開発に集中することができました。
本製品を作り上げるには、本体側で設定した補聴/出力設定と Bluetooth 通信を通して聴こえる通話音声をリアルタイムに連動させるためのソフトウェアの開発や、モノラル(1つのチャンネル)をステレオサウンド(2つのチャンネル)に変換する処理、スマートフォンの音量設定とは別に DSP で音量を増幅する処理の開発が必要となります。
今回、助成していただいたおかげで、開発に注力できたことは大きかったです。また技術面を評価いただけたことも開発を進めていく中でのモチベーションアップにつながりました。
これからのビジョン
聴こえの問題で苦しんでいる方々を一人でも多くサポートしたい
耳の不自由な難聴者は、世界に約 4億 7,000 万人、日本に約 1,430万人おられ、日本人の約 10人に 1人が難聴者と言われています。また、65歳以上の約 58% が老人性難聴者といわれており、日本は高齢化にともない、年々、難聴者が増加しています。
これほどまでに多くの難聴者が存在するにも関わらず、難聴者の内、補聴器を利用している方は 14% と先進国の中で、日本の普及率が最も低く、補聴器は社会に浸透していません。
私たちは、本製品の普及を通して、聴こえの問題で苦しんでいる方々を一人でも多くサポートしたいと考えています。
また、同じような想いをもった企業の方々とコラボレーションし、より良い補聴器や集音器の開発(OEM/ODM)、オフラインの販売店や顧客接点をもっている企業と連携し、体験できる場づくり(試聴会)を増やしていきたいと考えています。
企業情報
事業者名 | 株式会社 freecle |
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代表者名 | CEO 久保 聡介 |
事業内容 | ・音響製品の設計・開発・販売 ・知的財産のライセンス提供 ・音響製品や無線機の委託生産 |
主要製品 (サービス) |
集音器 無線機 テレワーク用イヤホン 聴力サポートアプリ スマートグラス / オーディオグラス 等 |
所在地 | 東京都目黒区下目黒二丁目20番13号 rainbowbldg. 1F |
URL |
https://freecle.co.jp
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SNS | X, Facebook, YouTube |
代表者情報

株式会社 freecle
CEO 久保 聡介
中央大学 法学部 卒業。2011年 〜 2016 年まで日本 IBM に在籍。戦略コンサルタントとして、ロボットやウェアラブルデバイス、AI, IoT などの事業・先進技術開発を経験後、2017年4月に起業。