デジタル機器に不慣れな高齢者でも不安なく利用できる!
認知症の疑いがわかるタブレットアプリを開発
専門家でない介護スタッフでもアドバイスしやすいように設計された長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)。AIアバターとの自然な会話を通じて認知症の疑いをチェックできます。
株式会社HYPER CUBE
AIアバターとの会話で認知症の疑いを早期発見!
高齢者の約70%が感じていた検査時の
心理的苦痛の解消を実現した簡易知能評価スケール
AIアバターとの対話を通じて高齢者の認知症の疑いを簡易的に評価できるスクリーニング検査
高齢者がAIアバターとの対話を通じて行う「トモニ for フレイルチェック」(※1)の機能を拡張し、手軽に認知症の疑いをチェックすることができる高齢者向けタブレットアプリを開発しました。
このタブレットアプリを利用することで長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)(※2)を、アバターとの自然な会話を通じて実施できます。
対象は、高齢者施設・通所施設・老人クラブ等に通う高齢者と、そこで支援を行われている介護職・看護職・自治体担当者です。
専門職でなくても、高齢者がアバターと会話をするだけで認知機能のスクリーニングができることを目指し、HDS-Rの各設問を対話形式に落とし込み、自然言語処理によって回答を自動採点・記録する仕組みを整えました。
これにより、対面での紙ベースのテストに比べて、高齢者の心理的ハードルを下げ、より気軽に・繰り返し認知機能の状態が把握できるようになります。
※1 フレイルチェックアプリ
加齢による心身の活力低下(フレイル)の疑いを、スマートフォン、タブレット端末を通じて手軽にチェック・予防するためのアプリで、多くは自治体と連携し、簡単な質問などからAIがフレイルリスクを判定し、運動・栄養・社会参加のアドバイスや地域イベント情報を提供します。
※2 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R、または長谷川式認知症スケール)
長谷川和夫氏(精神科医)が開発した認知症の早期発見や認知機能の低下度を簡易的に評価するスクリーニング検査。記憶力(記銘力・再生)、見当識(時間・場所)、計算力、言語流暢性など9つの質問で構成され、合計30点満点で採点され、20点以下で認知症の疑いがあるとされます。
開発・改良のきっかけ
高齢者が苦痛だと感じる紙と鉛筆による認知機能チェックの問題点を解決したい
日本では高齢化が急速に進展し、特に認知症は大きな課題であり、介護施設や高齢者ご本人から、より身近で簡単な認知症テストを求める声が多く寄せられていました。
認知症の早期発見の重要性が広く知られる一方で、紙と鉛筆を用いたテストに対して「怖い」「緊張する」「書くことが苦手」と感じる高齢者も多く、介護の現場では十分な回数のスクリーニングが行われていないという課題があります。
また、リサーチした結果、医師や専門職のマンパワーに依存しているため、限られた時間の中で、多くの高齢者を継続的にフォローすることが難しい状況も見えてきました。
そこで、これまで自社で開発してきたフレイルチェックアプリや会話型アバターの技術を生かし、「高齢者が普段の会話の延長線上で、気負わず認知機能チェックを受けられる環境」を作りたいとの思いから、本事業に取り組みました。
製品・サービスの特長
日常会話の流れの中で、高齢者に話しやすいと感じてもらえる点を重視
本サービスの最大の特長は、日常会話の中に自然な形でテスト項目を組み込んでいる点にあります。
長谷川式認知症スケールテストを、そのまま出題するのではなく、アバターとの日常会話の流れの中で、違和感なく質問が入るように設計しました。
「今日の予定」「最近あった出来事」といった自由会話、世間話から入り、時や場所に関する質問、買い物や食事に関する質問などを自然に差し込むことで、「テストを受けている」といった不安感や緊張感を和らげ、高齢者に心理的負担なく話しやすいと感じてもらえる点を重視しています。
専門家でない介護スタッフでも一定の精度で認知機能スクリーニングを実施できる
高齢者の自由発話をテキスト化し、自然言語処理を用いてAIが回答の正誤を自動判定する仕組み(自然言語処理による自動判定と高い正確性)を構築しました。
モニタリング時には専門職による判定と同時に評価を行い、長谷川式認知症テストの自動判定機能において、人が行った判定とAIと比較した場合、判定の正確性95%以上を達成しました。
このように、人による判定との一致率も高く、非専門職のスタッフでも一定の精度で認知機能スクリーニングを実施できる点も、本サービスの大きな強みとなっています。
高齢者が聞き取りやすい速度・画面設計にこだわり介護現場で高い評価を得ている
以前に開発したフレイルチェックアプリの経験を活かし、高齢者が聞き取りやすい速度・語り口・画面設計にこだわりました。
介護現場でよく使われる言い回しや、難しい言葉ではなく高齢者に馴染みのある言葉を積極的に取り入れ、会話の「不自然さ」や「つながりの違和感」が出ないよう調整しました。
モニタリングでは、「会話の自然さ」「話しやすさ」に関するユーザー評価(介護現場の言い回しに寄り添った会話設計とユーザー評価)で平均4点以上(5点満点)を得ており、対話型UIの有効性と、高齢者に受け入れられる設計であることが確認できました。
開発期間中に苦労したこと
認知症スケールテストの意図が変わらないよう何度も会話フローとセリフを調整
一番の課題は、長谷川式認知症スケールテストの意図を変えず会話形式へと落とし込むことでした。
質問の順番や言い回しを少し変えるだけでも難易度や受け取り方が変わってしまうため、何度も会話フローとセリフを調整しました。
また、高齢者の自由発話は言いよどみや言い直しも多く、自然言語処理の設計では、現場の介護職が実際に使う言葉や、よくある答え方のパターンを取り込むことに時間をかけました。
高齢者施設や老人会でのモニタリングでは、「テストである」と構えてしまう方も一定数おり、導入時の説明の仕方や、アバターの第一声の印象が重要だと実感しました。
実証を重ねる中で、最初は雑談から入り、徐々に設問に近い話題へ移行する構成に改良したことで、会話のなめらかさと回答率が向上しました。
一方で、より多様な身体・認知状態の高齢者への対応や、聞き取りにくい音声環境での精度向上など、今後の改善につながる課題も明らかになりました。
助成事業を活用して良かったこと
面談時にいただいた質問がヒントとなり、介護施設・岡山市での実証実験の成果につながった
東京都中小企業振興公社の方との中間報告での面談時、使用感に対する達成度合いだけでなく、高齢者が実際に使った際に「隣に人がいることによる怖さや不安は感じないのか?」といった被験者側に立った質問がありました。
いただいた質問内容をヒントとして介護施設・岡山市で実施した実証実験に生かせたのは大きかったです。
その結果、介護施設・岡山市の実証実験(アバターとの自然な会話で実施できる認知症スクリーニング)に参加した高齢者から「操作が簡単で、他の人にも勧めたい」などユーザビリティに対して高い評価をいただくことができました。
介護施設の方々含め、環境によって高齢者が気になるポイントも違うため開発時の考慮は大変ですが、岡山市での認知症スクリーニングはヒントによって改良した点がうまく反映され、良い結果につながったと感じています。
これからのビジョン
高齢者のQOL向上と介護・医療現場の負担軽減の両立を目指していきたい
今後は、本事業で開発した認知症スクリーニング機能と、さらに前に実施したフレイルチェックを基盤にうつ傾向や運動機能など、他の評価尺度との連携も視野に入れながら、総合的な「高齢者向ヘルスチェックプラットフォーム」へ発展させていきたいです。
フレイルチェックは自治体で行われるが、認知症はおそらく介護施設や、クリニックでの実施となるため、その内容を地域包括的に扱い、高齢者が楽しく元気に健康寿命を延ばせる環境に影響を与えたいと考えています。
また、将来的には、介護記録システムや電子カルテ等と連携し、日々の会話データから変化の兆しを早期に捉えることで、高齢者のQOL向上と、介護・医療現場の負担軽減の両立を目指します。
企業情報
| 事業者名 | 株式会社HYPER CUBE |
|---|---|
| 代表者名 | 代表取締役 大林 謙 |
| 事業内容 | HYPER CUBEは、“遊びが予防になる社会をつくる”をビジョンに掲げ、対話型AIエージェントを活用した高齢者のQOL向上や、介護・医療ドメインにおける新規事業支援、AIソリューションの開発を推進しています。 |
| 主要製品 (サービス) |
・高齢者向けAIエージェント「トモニ」 ・AIチャットボット「AIコンシェル」 ・訪問介護事業者向けサービス「ビジタ」 |
| 所在地 | 東京都港区西新橋 一丁目2番9号 日比谷セントラルビル5階 |
| URL |
https://www.hyper-cube.co.jp/
|
| SNS | ブログ, Facebook |
代表者情報
株式会社HYPER CUBE
代表取締役 大林 謙
プロフィール
高品質な映像制作やゲーム開発を行う株式会社フレイムを設立、より独自性のある開発を行うためフィリピンにも開発拠点NEUN FARBEN CORPORTIONを設立し、各社の特性を連携させた開発・運営体制を構築を行う。
その後“遊びが予防になる社会をつくる”をビジョンとする株式会社HYPER CUBEを設立し、高齢者のQOL向上を目的としたAIエージェントの開発や新規事業・サービス開発を行う。また関連会社FourHではCOOとしてDTxの開発やウェアラブルデバイスを用いた睡眠疾患の探索的研究に従事。