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経営人財NEXT20修了企業紹介

 第3期 株式会社ふらここ

親と子の絆を深めるブライダルドールで、第3の成長柱を作る

現代のニーズに合うコンパクトで可愛らしい雛人形
現代のニーズに合うコンパクトで可愛らしい雛人形

優しい色合いの可憐な着物をまとう、赤ちゃん顔の小さな人形たち。あどけない表情やしぐさに、思わず顔がほころび、誰もが見ているだけで温かい気持ちになれる。
伝統と文化のまち中央区日本橋にある株式会社ふらここは、現代の家族が求める新しい人形のカタチを世に出したパイオニアとして知られている。
原社長は、人形師の家系に育ち、家業の人形専門店でお客様に対応する中で、時代ごとのニーズの変化を肌で感じてきた。親から娘へ代々受け継がれる贈り物として、ひな壇に豪華に飾り付けられた人形が好まれた時代から、核家族化と住宅事情が変化し、可愛らしくコンパクトなサイズの雛人形が求められるようになった。
2008年、こうした時代の変化を読み取り、新たなスタイルの人形を確立するため会社を設立。以降、業界の常識を変えるイノベーションが評価され、数々の賞を受賞し、全国から注文が殺到する人気商品となっている。

現代のニーズに合うコンパクトで可愛らしい雛人形
現代のニーズに合うコンパクトで可愛らしい雛人形

構造的な経営課題解決に挑む

経営人財NEXT20 第3期参加 小川真奈さん
経営人財NEXT20 第3期参加
小川真奈さん

同社の主力商品は、雛人形と五月人形である。業績は順調な一方で、節句人形の販売時期は11月から4月までの季節商品で、年間を通して販売することができないという経営課題があった。また、大半は新規のお客様が中心で、第2子以降の孫の誕生や甥や姪への贈り物としてリピート購入はあるものの、毎年シーズン前の新規顧客開拓が欠かせなかった。さらに、次々とコンパクトサイズの節句人形が競合他社から低価格で販売されるようになり、同社が継続成長するためには、通年販売できる付加価値の高い商品の開発が急務だった。
ちょうどそのころ、新事業立上げの旗振役になったのは経営企画部経理課、課長代理の小川真奈さん。会社全体の予算管理を行う経理課業務でリーダーとしての頭角を表し、将来の会社を担う経営人材として、社長直々の命により新規事業を担当することになった。

経営人財NEXT20 第3期参加 小川真奈さん
経営人財NEXT20 第3期参加
小川真奈さん

ダブルスクールで真の「経営人財」を目指す

『ブライダルドール』は両親への感謝の気持ちを表す
『ブライダルドール』は両親への感謝の気持ちを表す

令和元年、新規事業の立ち上げ方を学ぶ公社主催の「新サービス創出スクール」に参加し、ギフト関連の市場調査を行うことにより、結婚披露宴で子から親に贈る「ブライダルドール」の事業コンセプトを固めていった。そして、同年、「経営人財NEXT20」の3期生として参加し、「ブライダルドール」の具体的な商品化に向けて、小川さんを中心に、全社を巻き込みながら取り組んでいった。
最も力を入れたのは人形の命ともいえる「造形」である。つかまり立ちの一歳前後の赤ちゃんモデルに集まってもらい、赤ちゃんの動く様子、しぐさ等を丁寧に観察、カメラで記録し、赤ちゃん独特のポーズを人形に取り入れることに心血を注いだ。従来、人形師が作るボディ部分は熟練職人の属人的な領域であったが、本取組みでは社員自らの手で3Dを活用して造形することにチャレンジし、試行錯誤のプロセスも含めて新規事業開発のノウハウを共有化することもできた。
経営人財NEXT20修了後も、新規事業のリリースに向けた取組みは継続し、令和4年11月、足掛け4年の苦労を経てウェブサイトで初御披露目となった。商品は、顔、衣装、ポーズとも社員のこだわりと技術力が結実したものであるが、そのこだわりを全面に出すのではなく、SNSも活用しながら新郎新婦とその両親による家族の物語と結婚式に至るまでのストーリーを商品と共に動画配信し、両親への感謝の気持ちを表す商品としてマーケティングも戦略的に展開している。

『ブライダルドール』は両親への感謝の気持ちを表す
『ブライダルドール』は両親への感謝の気持ちを表す

経営人材の成長から企業の継続的成長へ

小川さんは、「経営人財NEXT20で最も苦労したことは、計画を立ててそれを実行するということ。既存事業と並行しながら新規事業開発を進めることは手探りの連続で、ゴールも見えず精神的に苦しい時もあった。ブライダルドールの開発で、経営課題であった通年販売への道筋をつけたが、これで終わりではない。次の世代にバトンを渡すためにも、自分たちが二の手、三の手を考え続けていきたいと思うし、その責務があると感じた」と話す。
そんな小川さんの奮闘を傍で見てきた原社長は「この4年間で全社的な視点から優先順位がつけられるようになった。既存事業で緊急性の高い仕事が発生するが、同時に将来を見据えて重要性が高い仕事にも着実に取り組まねばならず、そのためには高い視座から俯瞰して物事を見なければならない。この視点を身に着けられるようになり、大きな成長を感じている。」と、経営人材を育成する重要性を改めて語ってくれた。
新規事業の立上げを通じ、経営人材を中心としたプロジェクトチームの組成、そして収益の安定化に向けた取組みは、まさしく経営人材の軸となる「イノベーション創出力」と「組織マネジメント力」の双方を鍛える結果となった。これが一社員の成長に留まらず、会社の継続的成長に欠かせない重要な組織力となることを㈱「ふらここ」の更なるチャレンジが教えてくれるに違いない。

 株式会社ふらここ
 代表者:代表取締役 原 英洋 氏
 所在地:東京都中央区東日本橋3丁目9-8 furacoco house
 HP:https://www.furacoco.co.jp/