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令和3年度 若手商人育成事業 事業活用事例集 支援事例1

ジュエリーサショウ
高橋商店街振興組合(江東区)
目前の手仕事に追われるのではなく
将来を見据えた発想法を学んだ
佐生真一さん

日々の業務に追われる状況から専門家の助けを受け脱却目指す
 ジュエリーサショウは、地下鉄清澄白河駅近くの高橋(たかばし)商店街(高橋のらくろード)にあるジュエリー工房だ。宝飾品の修理やリフォーム、オリジナル指輪の製作などを手がけており、全国から依頼が寄せられる。また、舞台や映画で使用される王冠製作でも活躍している。
佐生真一さんは、辰巳芸者の簪(かんざし)や帯留をこしらえていた祖父・常次郎さん、江東区無形文化財の指定を受けた名工の父・明義さんを継承し、金工を生業とする三代目。祖父や父が手掛けた指輪を、次の世代へ繋ぐリフォームを頼まれるなど、代々に渡る馴染みの顧客も多い。また、佐生さんは地元商店街の活性化にも積極的に携わっている。
 佐生さんは平成30年、東京の伝統工芸品の魅力を国内外に発信する「東京手仕事」プロジェクトに選ばれた。工房の注目度は高まり、百貨店のイベントなどに出展する機会も増えたが、課題もあったと当時を振り返る。
「最大の悩みは、日々の修理加工仕事に追われていたことでした。自社製品の商品力を高めたり工房併設の販売スペースを改善したかったが、それらに力を注ぐ余裕がなかったのです。工房がある『高橋のらくろード』は集客力が高い商店街なので、小売りに力を入れて売り上げを伸ばしたいと考えていました。そのために、専門家の力が必要だったのです」

佐生真一さん

持続的にビジネスを回すため適正価格への見直しに取り組む
 当時の佐生さんは店舗外観の改装などを考えていたが、商店主スキルアップ事業で支援を受けた専門家からは、商売のやり方を根本から見直すよう勧められた。
「まず専門家からは自社製品の値上げを提案されました。相場よりはるかに安い価格を適正にすべきだと指摘されたのです。
 私は、自分が多少無理をして長時間働けば、仕事は何とか回ると考えていました。しかし、それでは家族と接する時間が取れないし、いつかは無理が利かなくなる時期が来る。だから今から、持続的にビジネスが回る仕組みを作らねばならないという専門家のご意見は、胸に刺さりましたね。他にも、お客さまからオーダー品の希望を伺う際に、どうすればうちの良さが端的に伝わるか、あるいは、ビジネスのスピード感はどう高めればいいかなど、多くのことを教えていただきました」

SNSや店頭での「見せ方」も専門家の助言で大きく改善
 佐生さんは遠方の顧客にアピールするため、インスタグラムやグーグルマイビジネスなどでの発信力を強化。さらに、そこから自社ウェブサイトまでの導線を整備した。ここでも、専門家のアドバイスが役立っている。
「以前の当店は、SNSや店頭での見せ方にも統一性がありませんでした。例えば、店頭に出していた商品の値札もスタイルがバラバラだったのです。ところが、専門家から商品の魅力や自社の強みの伝え方、そして『まとまりのある見せ方』を学んだ結果、インスタグラム経由での問い合わせが増えるなどの効果が表れています」
 商店主スキルアップ事業をきっかけに、それまで「職人脳」で考えがちだった佐生さんの意識は変わった。
「仕事時間が10ある場合、ほとんどの職人はすべての時間を手仕事に当ててしまいます。でも、それでは目の前の仕事に忙殺され、変革を起こすことは難しい。10のうち1か2を、宣伝や、新商品のアイデアを練る時間にあてれば、状況は変わります。仕事の効率を高め、きちんと休みを取り、その上で仕事の質を高めていくという視点を授けていただいたことは、本当にありがたかったです」と語った。

所在地 : 江東区高橋14-21
電話番号 : 03-3632-5233
URL : https://www.sashou.jp/
活用した事業 : 
商店主スキルアップ事業


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