令和3年度 若手商人育成事業 事業活用事例集 支援事例8
新たな取組へのヒントを得た


新たな発想のヒントを求め商店街リーダー実践力向上塾に参加
戸越銀座商店街は、関東有数の規模を誇る商店街で、日頃から戸越銀座商店街連合会として戸越銀座の3つの商店街で連携して様々な事業を実施している。また、食べ歩きの街としてメディアにもよく取り上げられており、商店街ブランドの1つ”戸越銀座コロッケ”は広く親しまれている。
戸越銀座商店街振興組合が商店街リーダー実践力向上塾(以下、「リーダー塾」)に参加した理由は、外部から客観的なアドバイスを取り込むことだったと、副理事長の遠藤利夫さんは語る。
「以前から当振興組合は、組合店舗だけでさまざまな企画を考えてきました。しかし、長年同じメンバーで活動していると、どうしても内容が凝り固まってしまいます。そこで、新たな発想のヒントが得られないかと考え、参加することにしました」


コロナ対策ガイドラインを他の商店街にも広く共有
リーダー塾に参加した目的はもう1つある。それは「コロナ対策」の情報共有だ。
令和2年の秋、戸越銀座商店街は新型コロナウイルスに対応した「危機管理ガイドライン」を公表。品川区保健所をはじめとする外部機関と協力し、来店客や従業員に感染者が出た際の対応法などを独自にまとめた。
「新型コロナウイルスの感染拡大当初、住宅街に近い戸越銀座商店街では人出が増えたと報道され、商店街にはたくさんの批判の声が寄せられました。その際の反省を原動力に、第2波の到来が噂されていた時期にガイドラインを作成・公表したところ、他地域の商店街など約280団体から問い合わせをいただいたのです。この経験をもとに、さらに多くの商店街と交流し私たちの経験をリーダー塾で共有できればと考えたことも、参加した理由の1つでした」
また、講座を通じて他の参加者からの意見や情報から多くの気づきを得ることができたという。
「当商店街同様の事例として、リーダー塾で知り合った商店街の方からも、IT企業と協力して来街者の属性をビッグデータ解析した話などを伺いました。商店街同士で情報交換する機会は意外と少ないものですが、今回『横のつながり』が得られたことは参加のメリットでした」


若い世代や外部の力を借りながら新たな取組みを推進
商店街の活性化には担い手の確保が課題となっており、戸越銀座商店街も例外ではない。そこで、商店街同士の連携を強めることで若い世代に刺激を生み出せないかと、遠藤さんは期待している。
「今は商店街でも、DX(ITによって暮らしや社会をより良く変革させる仕組み)への取組が求められています。その担い手となるのは、やはり若い商店主でしょう。彼らが他の商店街と連携しながら、お客さまの目線になってイベントなどの企画を立てられるようになるといいですね」
現在、戸越銀座商店街では、商店街ならではのやり方で地域住民に貢献する方法として、防災対策に力を入れているところだ。また、「買い物するだけの場」から「居心地良く過ごせる場」への脱皮も模索中である。
「商店街にも進化が必要です。今後も他の商店街や外部の専門家から知恵を借り、新たな取組を進めていきたいです」
