東京都中小企業振興公社

no.235

AIと人力の併用で「思いが伝わる動画翻訳」を実現

こんにちハロー代表取締役CEOの早見星吾氏(写真左)と、星吾氏の兄で執行役員CSO(Chief Sales Officer)を務める泰星氏は、築地場外市場の近くで生まれ育った。そこで外国人対応に悩む人々の姿を見たことが、創業の原点だったという

こんにちハロー代表取締役CEOの早見星吾氏(写真左)と、星吾氏の兄で執行役員CSO(Chief Sales Officer)を務める泰星氏は、築地場外市場の近くで生まれ育った。そこで外国人対応に悩む人々の姿を見たことが、創業の原点だったという

肉声と自然な口の動きで他言語へと翻訳

 「こんにちHELLO」は単なるAI動画翻訳サービスではない。日本語を当人の肉声のまま、口の動きまで同期させて他言語に訳すものだ。運営会社であるこんにちハロー社が公開しているサンプル動画を見れば、その素晴らしさはすぐに理解できるだろう。
「字幕や吹き替えでも意味は分かりますが、どうしても違和感が生まれます。ところが私たちのサービスなら、まるで本人が外国語で話しているように表現できるのです。観光業や飲食業、エンタメ業界など『外国人にも感情を込めて伝えたい!』と考える方々に、ぜひ使ってほしいです」(代表取締役CEO・早見星吾氏)
 星吾氏が事業を始めたのは2024年、東京大学の在学中だった。当初は星吾氏たちが自ら映像を編集し、翻訳も帰国子女や留学生仲間に頼んでいたが、質の向上と事業規模拡大を目指して外部の翻訳企業に協力を依頼。
「現在では700人以上の登録スタッフを擁し、英語、中国語、韓国語など全37言語に対応。AIというデジタルと、人によるきめ細かな翻訳というアナログとの組み合わせが、当社の武器の1つです」(星吾氏)

事業可能性評価事業で経営の基礎を学んだ

 同社は2024年、公社の「事業可能性評価事業(4ページ参照)」を利用した。これは、専門家が新規事業の立ち上げを目指す企業に面談・書面などで助言をし、高い成長性が期待できる企業に継続的な支援を無料で行う仕組み。
「当時は星吾が大学生で、私は大学を卒業したばかり。技術やサービスについてはなんとか独力で対応しましたが、経営はお手上げでした。限界にぶつかり、事業拡大には外部の専門家の助言が必要だと痛感。そんなとき知人から教わったのが、公社の存在です」(執行役員CSO・早見泰星氏)
 同社は事業可能性評価事業に申請し、経験豊かなプロから2~3カ月間にわたって指導を受けた。この過程で成長の手応えを感じたと、泰星氏は振り返る。
「約10回の面談のたびに課題が出され、必死に資料をまとめて評価と指導を受ける中で、経営に必要な考え方と、それを表現する方法を学べたと思います。その甲斐あって最後には高評価(ページ左上参照)をいただくことができました。また、公社が実施している表彰制度の『奨励賞』に輝いた時は、心から嬉しかったですね」(泰星氏)

事業可能性評価事業の結果報告書。通常の「事業の可能性あり」より一段階高い「事業の可能性『十分』あり」という評価を受け、自信が持てた

事業可能性評価事業の結果報告書。通常の「事業の可能性あり」より一段階高い「事業の可能性『十分』あり」という評価を受け、自信が持てた

2024年に出展した「AI・人工知能EXPO」の様子。こうした営業・渉外活動は泰星氏が、開発や海外企業とのやりとりは星吾氏が担当している

2024年に出展した「AI・人工知能EXPO」の様子。こうした営業・渉外活動は泰星氏が、開発や海外企業とのやりとりは星吾氏が担当している
                

少数精鋭の仲間に思いを共有して事業を加速

 ビジネスを成長させるには社外の力を上手に活用すべきだと、星吾氏と泰星氏は口を揃える。翻訳会社との提携を進めたのも、事業規模の拡大には不可欠だったからだ。一方で、自社のコンセプトや事業にかける思いを、仲間と共有することも大切だという。
「新たにお付き合いする翻訳者や動画編集者の方々には、私たちが起業したきっかけや理念を話すところから始めます。仕事を『タスク』としてこなすだけの人より、私たちの考えに共感し、情熱を込めて働いてくれる人の方が成果を上げてくれると思うからです。そのため、人材採用もリファラル(知人の紹介・推薦)が基本。信頼できる少数のメンバーを集め、その代わり、大きな裁量を与えて自由に活躍してもらおうというのが、私たちのポリシーです」(星吾氏)

自治体とのコラボや海外事業でも公社に期待

 事業可能性評価事業を活用したことは、こんにちハローにとって、対外的な信頼度獲得の面でも役立っているという。
「私たちは知名度の低いベンチャーですが、『東京都中小企業振興公社 奨励賞受賞』と公式ウェブサイトなどに明記することで、お客様からの信頼度は明らかに高まっています。こうしたお墨付きは、大きな威力ですね」(泰星氏)
 同社は今後、インバウンド需要の拡大を目指す地方自治体とのコラボにも力を入れる方針だ。
「公社には、外国人の呼び込みを目指す地域との橋渡し役として、今後もご支援いただけることを期待しています。そうすれば、私たちのサービスは地域おこしにも役立てると思うのです。また、今後は『外国語→外国語』のサービスも手掛けたいので、海外での販路拡大や知財保護などの面でも助けていただけたらと考えています」(星吾氏)

利用事業:事業可能性評価事業

 新規事業の事業化に向けて、専門家が面談と評価レポート(書面)でアドバイスを行います。成長性が高いと認められる事業計画に対して、継続的な事業化支援を行います。
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/shien/hyoka/index.html

お問い合わせ
経営戦略課 TEL:03-5822-7232

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