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2014年2月14日 掲載

中国知財権紛争事件の統計データ(2)
司法保護状況について

 2012年、中国の地方の各級裁判所が新たに受理した知的財産権の民事第一審事件は前年比45.99%増の87,419件、結審した事件は前年比44.07%増の83,850件であった。新たに受理した民事事件のうち、著作権事件は53,848件、商標権事件は19,815件、専利権事件は9,680件で、それぞれで前年比で53.04%、52.53%増加し、23.80%増加した。その他、技術契約紛争事件は前年比33.93%増の746件、不正競争事件は前年比1.23%減の1,123件、その他の知的財産権事件は前年比0.64%増の2,207件であった。結審した事件のうち、外国当事者に係る事件は、前年比8.18%増の1,429件であった。また、新たに受理した知的財産権民事第二審事件は、前年比25.37%増の9,581件、結審した事件は前年比21.32%増の9,292件(以前に受理したものを含む)であった。さらに、新たに受理した知的財産権民事再審事件は、前年比41.5%の172件、結審した事件は同様に0.45%減の223件(以前に受理したものを含む)であった。
 また、最高裁判所知識財産権裁判廷は、知的財産権民事事件を新たに237件受理し、246件(以前に受理したものを含む)結審したが、そのうち、新たに受理した再審事件が181件で、186件(以前に受理したものを含む)を結審した。
 同年、中国の地方裁判所が新たに受理した知的財産権の行政第一審事件は前年比20.35%増の2,928件、結審した事件は前年比17.37%増の2,899件であった。結審した事件のうち、外国当事者に係る事件が1,127件であった。また、同様に地方裁判所が新たに受理した知的財産権行政第二審事件は1,424件で、うち1,388件結審されたが、そのうち、一審判決が維持された事件が1,225件あった。
 その他、同年、中国の地方裁判所が新たに受理した知的財産権の刑事第一審事件は前年比129.61%増の13,104件、結審した事件は132.45%増の12,794件であった。新たに受理した事件のうち、知的財産権侵害罪事件が7,840件、うち登録商標詐称罪などの商標権侵害事件が4,664件で、知的財産権侵害罪事件の約60%を、全ての知財権刑事訴訟事件の約36%を占めた。
 このように、2012年には、知的財産権に係るさまざまなタイプの訴訟事件がいずれも前年と比較して増加した。中国における知的財産権に対する司法保護が強化され、知的財産権関連訴訟の審判業務が効果的に進展したことにより、関連訴訟事件の増加に拍車がかかったと考えられる。知的財産権関連訴訟事件のうち、民事訴訟事件は、模倣品侵害事件の現状を一番良く反映しているので、下記のように、専利権紛争、商標権紛争、著作権紛争に関する第一審民事事件の推移を紹介する(グラフ2を参照のこと)。

グラフ2 2007年~2012年知的財産権紛争に係る民事訴訟の統計データ(※1)

グラフ2

※1)グラフ2は、2007年から2012年まで中国地方裁判所より新たに受理した専利権紛争、商標権紛争、および著作権紛争の第一審民事事件件数の推移を示すグラフである。関連データは中国最高裁判所が公布した「2007~2012年中国裁判所知的財産権司法保護状況」より。

ポイント

  • 行政摘発と同様、知的財産権紛争に係る民事訴訟件数は急増しています。
  • 特に著作権の訴訟件数が5年前と比較して約7倍になっています。
  • 中国においては、商標と合わせて著作権登録をしてキャラクター等の権利保護をするケースがあり、著作権登録の活用も中国における模倣品対策のポイントとなります。

資料協力 北京林達劉知識産権代理事務所別タブで開く

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