TOKYO逸品:「花色鉛筆」
廃棄古紙が主原料の新素材を活用し、削りかすが花びらになる色鉛筆
「にっぽんの底力」は、姿形だけでなく


「東京くらしのフェスティバル」に出展され、話題を呼んだ商品(※)の開発背景をひもとく新連載です。第1回は「花色鉛筆」。
上の画像に目を凝らすと、それぞれの軸が草花をかたどっているのに気づきます。梅色の鉛筆は梅の花。桜色のは桜の花。
花色鉛筆の仕掛けはまだあります。今度は右下の画像です。芯を削ると、その削りかすは、花びらを思わせる美しい形に。
あっ!と声が出る、この商品……。核となって作り上げたのはTRINUSというベンチャー企業です。いったいどうやって?
花色鉛筆で言えば、廃棄古紙を用いた新素材を編み出した企業がありました。でも、どう活かすかまでは考えつかない。
それをTRINUSがデザイナーとつないだ。花びらのような削りかすになるのは、細かな成形ができ、軸の中まで同色に染め上げられ、しかも簡単に削れるから。新素材なればこそでした。
すなわち、こんな仕組み。まず、TRINUSが、全国各地に埋もれている技術を発掘して情報を開示する。次にそれを見たデザイナーが商品を発想してTRINUSに提案します。つまり、TRINUSが、企業とデザイナーをまさにとりなすわけです。
可憐な姿形だけでなくて、開発を進める過程ひとつからも、にっぽんの底力をそこに感じ取れる、という話ですね。
※現在は、東京くらしのフェスティバル未出展商品も掲載しています。

商品情報
商 品 名 | 花色鉛筆 |
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企 業 名 | 株式会社TRINUS(東京都世田谷区) |
WEBサイト | https://trinus.jp/developments/1 |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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