TOKYO逸品:「AmeMachi(アメマチ)」
透明な折りたたみビニール傘
他社が追ってきても、また突き放すだけ


1952年に世界で初めてビニール傘を開発したメーカーです。当時は業界内から「傘にビニールなんて」と反発があったと聞きますが、そんな声をよそに消費者はこれを受け入れました。
そうなると、次第に類似品が幅を利かせてきます。さあ、どうしたのか。競争の波にさらわれるままだったか。違います。
ビニール傘の低価格化に巻き込まれそうな状況下で、むしろ値段を上げた高機能な商品の開発に着手しました。「ビニール傘を作ったところで、もはや儲からない」と考えるのではなくて、だったら皆が思ってもいなかった凄い傘を作ろう、と。
数千円もする高価格ビニール傘の「カテール」は、1980年代に生まれました。透明だから相手に表情が見え、通気弁を備えているから傘が風にあおられて壊れるのを防ぐ。政治家が選挙の折にこぞって愛用し、のちには皇室にも納められました。
そんな同社が2018年、クラウドファンディングで460万円超を集めたのが、ビニールの折りたたみ傘「AmeMachi」でした。労せず綺麗に折りたたむことができるよう、ビニールには折り線が刻まれています。実に難しい工程だったそう。そして、値段が1万4000円もするのに、一般発売した後も品薄続きです。
後発組に追随されたとしても、消費者を驚かす商品で再び突き放すまで、と考えられるかどうか。まさにそこですね。

商品情報
商 品 名 | AmeMachi(アメマチ) |
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企 業 名 | ホワイトローズ株式会社(東京都台東区) |
WEBサイト | https://whiterose.jp/amemachi.html |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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