TOKYO逸品:「一発遮断」
震度5強になると自動で電気を遮断できる感震ブレーカー
「成功は幸運だった」という話ではない


手のひらに乗る小箱です。これを壁に取りつけ、コンセントとアースにつなぐだけ。誰でも簡単にできる作業ですね。
何をしてくれる商品か。震度5強以上の揺れがきたら、この本体の中にある振り子が反応して、擬似漏電を起こします。そして、つながれているアース線を通して、自宅のブレーカーに伝わる。すると、それに感応してブレーカーが落ちるという仕組み。つまりは強い地震時に家の電気を遮断してくれる商品です。
地震による火災の過半数は電気が原因という調査があり、それをなんとかしたい、という思いから商品化したそう。
同社はもともと、プラスチックや精密板金の加工を得意とし、受託生産(いわゆる下請けですね)と自社ブランド商品生産の売り上げ比率は半々だったといいます。それがこの2年ほどで、自社ブランド商品の比率が相当に高まった。
この商品は2018年の発売です。アイデア自体は社外からの持ち込みだったそう。完成後には大手建材メーカーからの大量発注があり、いまや供給が追いつかないほどの好調さらしい。
そんな幸運が続いたからこその成功? いや、私はそうは思いませんね。精密板金も樹脂成形もできる、そんな企業でなければ、商品化できなかったはず。そこにすでにある足許の技術を活かしきろうと踏ん張ったから、強い商品ができたわけです。

商品情報
商 品 名 | 一発遮断 |
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企 業 名 | 多摩岡産業株式会社(東京都府中市) |
WEBサイト | https://tamaoka.co.jp/ippatsushadan/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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