TOKYO逸品:「スポッとる」
クリーニング屋さんが開発したシミ抜き剤
商品開発は「総当たり戦」がものをいう


このシミ抜き剤、もともと商品化するつもりはなかったそう。クリーニング店の娘さんが「お客さんの衣服に付いた古いシミをどうにかして取りたい」との一念で、店の片隅で試行錯誤した末に完成。ずっと家業で使っていたところ、あるとき「お宅の店って、服が本当に綺麗になるね」と言われた。その瞬間に「ああ、これをそのまま商品化したら、世界中の人が自分でシミを抜ける」と思い立ったといいます。
その中身は? 過酸化水素をごく薄く配合しているものと聞きました。これが正解と気づくまでに3年かかったとも……。どんな成分だと生地を傷めずにシミを取れるのか、数多の物質を総当たり戦で試したらしい。この総当たり戦に臨む感覚、つまり考えうることを全部やる意識って、過去になかった商品の開発を成就するためには必須、と私はいつも思っています。
そして、過酸化水素がベストと見出しただけではなかった。そこからさらに1年。「私、即効性が大事と思い込んでいましたが、でも……」。シミのあるところに塗ってから24時間放置するという手法にたどり着いた。時間をかけてシミを分解すれば、無理にこそげ取るのではなくて、シミが埃のように、はらりと落ちていくことがわかった。だから生地を傷めない。
累計38万個のヒット商品に育っているのがまた痛快ですよね。

商品情報
商 品 名 | スポッとる |
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企 業 名 | 株式会社ハッシュ(東京都大田区) |
WEBサイト | https://shop.hush08.com/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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