TOKYO逸品：「アニマルハグ・クリップファミリー」
水に浸けると好きな形に曲げることができるファイバー紙製クリップ

　同社の代表がまだ若き会社員だったころ、朝夕の混み合う電車の中でひとり、商品企画のアイデアを練っていたそうです。
　それはあくまで通勤時間のストレスを解消するためだったといいますが、それが起業への導火線となりました。会社員時代に個人としてつくった、ヒゲの形を模った付箋がスマッシュヒット。そして2013年に思い切ります。独立を果たしたのでした。
　2015年のこと。代表は、仕事相手の紙工会社からファイバー紙というものがあると教わります。それは板のように硬い素材なのですが、「湿気を帯びると、くにゃりと曲がって大変なんです」とのことでした。その言葉を耳にして、代表はひらめきます。「だったら、その特性をいっそ生かせばいい」。
　結果、できあがったのが「クリップファミリー」でした。オフィスで働く女性層が、動物型のクリップであるこれを水で濡らして遊び、さらにSNSへ数多く投稿してくれもしました。すでに20万セットが捌けています。2019年には、マスキングテープカッターの「アニマルハグ」を発売。動物がテープに抱きつく姿かたちが印象的です。こちらは5万セット売れています。
　ファイバー紙は土の中で分解する素材です。代表の手になるこうした「エコかわいい」商品たちは、コロナ禍をものともせず、国内はもとより海外からも注文続出。いまも売上順調だそう。