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TOKYO逸品:「笑暮屋(えぼや)万年筆」
MADE IN TOKYOの美しく、触感のいい万年筆

「日本唯一」の町工場、起死回生の渾身作

 開口一番、社長はこう言いました。「ゴム屋が万年筆をつくり始めて、もう10年以上ですよ」。この高級万年筆を世に送り出した同社は、天然ゴム由来の樹脂であるエボナイトを製造する、日本でただひとつの町工場です。プラスチックに押され、海外でもエボナイト工場は数えるほどしか残っていないらしい。
 エボナイトには、電気絶縁素材や楽器のマウスピースとしての需要が一定にあります。でも、それだけではジリ貧です。社長は2000年代後半、父である先代と2人で自社商品の開発に乗り出します。それがエボナイトをペン軸に使う万年筆でした。
 2009年、完成した万年筆をひっさげて荒川区の産業展に参加。1本6万円の万年筆が2日間で5本売れました。社長は「予想以上の結果」と踏まえ、本格生産に乗り出します。私にはここが分岐点と感じられました。わずか5本かと捉えるか、なんと5本もと捉えるか。社長は後者だったのです。
 国内外の展示会にも積極出展。いつしか、名だたる百貨店のイベントからも声がかかるようになったといいます。
 社長が家業に入った1990年代後半から同社の売上高は下落を続け、一時は半減以下となり、存亡の危機に立たされました。でも現在は社長が入社した当初の水準にまで見事回復。いまでは万年筆の事業が、売り上げの25%を占めています。

商品情報

商 品 名 笑暮屋(えぼや)万年筆
企 業 名 株式会社日興エボナイト製造所(東京都荒川区)
WEBサイト https://eboya.net/

語り手

北村 森(キタムラ モリ)

1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。
消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。
サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。

SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/
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