TOKYO逸品:「ORIAMI」金属製おりがみ
小さくても、それは“大きな”売り上げに


このおりがみ、紙ではなくて金属でできています。実に目の細かな金網製です。なぜまた金網? 折ったものがずっときれいに形を保てるから。そしてなにより、この商品を開発したのが1922(大正11)年創立の老舗金網メーカーであるから、です。
2010年代に入って同社の業績は停滞しました。これは自社ブランド商品をつくるしかないと社長は決断します。でも、相当に勝手が違いました。これまで頼りだった取引先からの図面はないわけですし、なにをつくるべきかも五里霧中の状態でした。
金網を使った文具か、照明カバーか…。どれも量産化が難しい。最後にたどり着いたのが、金網製のおりがみだったといいます。同社の職人がたまたま遊び心でつくったのが契機でした。
そこから3年。金網の目の大きさ、線の細さを変えながら開発を重ねます。完成したのは、布のようにしなやかで紙のように張りがあり、しかも折る人の手に安全な金網製おりがみでした。
発売から6年で、1万セットが売れました。予想をはるかに超える数字だそう。開発途上で「社長、熱心にやりすぎ」と社員から上がっていた声はもう収まりました。なぜか。同社の技術力を商談相手に伝えるのに、格好の存在になったからですね。
この商品の売上比率は全体の1%にもいきません。でも、そのわずか1%弱の商品が、同社の事業に好影響をもたらしたのです。

商品情報
商 品 名 | ORIAMI |
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企 業 名 | 石川金網株式会社(東京都荒川区) |
WEBサイト | https://oriami.jp/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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