TOKYO逸品:「tattamy(タッタミー)」
薄くて小さくて軽くて柔らかい畳
衰退産業? いや、作り手の意欲次第だ


これ、置き畳です。縦横それぞれ82センチの正方形で、厚さはわずか7ミリ。現在の技術で果たせる最薄水準らしい。赤ちゃんの世話をする空間だけ、あるいはキッチンの一部だけ、というふうに自在に並べられます。しかも段差がほぼない状態で…。
和室をしつらえる家が減るなかで、同社は「畳屋の務めは何か」と考えたそうです。「畳を求めている人は実際少なくない。でも業界がその思いに応えていなかった」ともいいます。そして生み出したのは「薄くて小さくて軽くて柔らかい」畳でした。
開発を担ったのは、生粋の畳職人と聞きました。伝統を破るような商品の開発に抵抗はなかった? 「全くありませんでしたよ」。今、消費者がイメージする畳のかたちというのは、実は昭和初期に一般化したもので、日本の畳の歴史からするとごく近年といえるそうです。「ならば、21世紀の生活環境に合う畳を新たにつくるなんて、当然の話でしょう」と語ります。
この畳、い草ではなくて樹脂製です。それを畳と呼んでいいのですか。「もちろんです。畳とはそもそも何か。冬は足が冷たくなく、夏はサラサラしてべとつかない。それが畳です」。試作を重ねるなかで、い草を使った畳よりも樹脂製のほうがむしろ、そうした機能を発揮すると判断したそう。
ああ、「畳の再定義」に臨んだ結果の商品だったわけですね。

商品情報
商 品 名 | tattamy(タッタミー) |
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企 業 名 | ダイヤロン株式会社(東京都中央区) |
WEBサイト | https://www.diaron.co.jp/ja/products/tattamy/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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