TOKYO逸品:「東京未来素材」
ポストプラスチック原料の新素材
町工場の決断と技術が、「未来」を築く


紙パウダーを51%以上含有する素材で、コップやトレイ、箸やストローといった食器を世に送り出している町工場です。「環境問題への意識が今ほど盛り上がっていない時期から、これらを手がけてきた」といいます。可燃物として処理できる素材であるだけに、先見の明があったと感じさせます。
きっかけは10年以上前。工業製品の部品をただ製造するだけでは「この先、社業が景気に大きく左右される」と判断したことだったそうです。8年前に試作品を引っさげて展示会に参加。それが功を奏したのか、自治体からの発注を得られた。
「商品づくりに欠かせない金型のコストは、うちが負担しました」。
そこまでしてでも、この新素材に賭けたかったという話ですね。でも、単なる費用持ち出しで終わったのではなく、自治体で使ってもらった結果から、商品のリユースへのヒントを数多くつかめたのです。この決断は正解だったと言えるでしょう。
そして3年前、一連の商品に「東京未来素材」と名づけ、さらなる攻勢をかけます。アウトドアグッズ分野にも斬り込もうとデザインを磨きました。ちなみに商品はすべて内製。「素材を焦がさずに成形できるのは、うちの長年の技術によるものです」。
「東京未来素材」の売上高、今はまだ同社全体の15%ほどに過ぎないそう。しかし「明日につながる大事な15%」ですよね。

商品情報
商 品 名 | 東京未来素材 |
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企 業 名 | 有限会社三幸電機製作所(東京都武蔵村山市) |
WEBサイト | https://sankohdenki.com/content.aspx?pg=m3 |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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