TOKYO逸品:「繋げる小物ハンガー」
必要な数、好きな色に合わせてカスタマイズできる小物ハンガー
商品を輝かせるには、「必然性」が大事だ


色とりどりのフックを縦に繋げて使えるハンガーです。フックの連結は7つまでいけます。クロゼットや玄関などに吊り下げて、そこにネクタイや帽子をかけると、実に見映えがいい。
これ、鋳物なんです。墨田区の町工場が世に出した商品。戦後まもない1948年の創業で、カバンメーカー向けの金属部品を長らく製造してきました。でも……このあたりにはかつて鋳物工場が100社もひしめいていたのが、いまでは10社に減少。やはり町工場は厳しい環境にあるのです。ならばどうするか。2019年、社長の子息が「鋳向屋(いなたや)」というブランドを立ち上げ、消費者に新たな商品を直接届けようと動き始めた。
ただ、私はここで尋ねたくなりました。このハンガー、鋳物である意味はありますか。プラスチックではだめですか。
「いえ、この形のハンガーをつくろうと思ったら、鋳物が最も理にかなっていると、私は断言できますね」。えっ、どうして?
「繋ぐところの強度を保って安全に使ってもらうには、プラスチックのS字ハンガーより鋳物のほうがはるかに優れています」
ああ、確かにそれは大きい。さらに言うと、鋳物ならではの質感は誰の目にも明らか。値段は張るけれども意味がある。
自社で培った技法をただ用いるだけではなく「そこに必然性がある」と言い切る姿勢こそが、いま問われていると思います。

商品情報
商 品 名 | 繋げる小物ハンガー |
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企 業 名 | 別府鋳工株式会社(東京都墨田区) |
WEBサイト | https://inataya-imono.com/miscellaneous-goods/accessory-hanger/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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