TOKYO逸品 ~企業が歩んだ物語~
「MediRack-ioT」
見守り機能付お薬ラック
「つくれる範疇のものを」からの脱却を…


シニア向けの薬ラックです。服用する薬を本体内にセットしておくと、指定の時刻に、音楽と音声、そして光で知らせます。また、服薬しているかどうか、任意のメールアドレスに通知してくれるので、離れている家族が本人の無事を確認できます。
開発したのは、計測器や制御機器の製造を手掛ける企業。この薬ラックは消費者向け商品の第一号となる存在です。商品を考案するにあたっての合い言葉は「『つくれるものを』ではなくて『求められているものを』」だったそうです。それまで持ちえていた技術の範疇で何かを開発するにとどめず、社会が必要なものを、無理を承知でも開発しよう、と…。
では、「求められているもの」をどこに見いだしたのか。「高齢者のいる家族間でお互いに感じるストレスを減らすこと」でした。それが薬ラックだと…。既存の商品よりも設定をラクにし、さらに本体内の重量センサーは、コンマ1g単位で薬の減少を測れる精度を目指しました。その制御は新規開発が必要なほど難しかったらしい。実はかなりの精密機器なんですね。
リスクを伴う開発だけに社内には反対の声もありましたが、複数の部署をまたがって続けられたこのプロジェクトは2020年に成就。そして、「社業全体が『求められているものを』という姿勢にシフトチェンジするきっかけにもできた」のでした。

商品情報
商 品 名 | MediRack-ioT |
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企 業 名 | 日本電波株式会社(東京都大田区) |
WEBサイト | https://www.nippa.co.jp/business/ownbrand/nms-100/ |
語り手
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北村 森(キタムラ モリ) 氏 1966年生まれ。「日経トレンディ」編集長を経て独立。 消費トレンド分析、商品テストを専門領域に活動。 サイバー大学IT総合学部教授(地域マーケティング論)。 SNS:https://www.facebook.com/mori.kitamura/ |
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